社内での喫煙を禁じる「全面禁煙」制度を設けている企業は全体の22.1%――帝国データバンクの調査でこうした結果が出た。最も多かったのは、事業所内や屋外に喫煙場所を設ける「完全分煙」で56.2%を占めた。
社内に適切な換気がされていない喫煙所がある「不完全分煙」は10.0%、決められた時間帯のみ喫煙が可能な「時間制分煙」は3.4%。喫煙制限を設けていない企業は7.3%だった。
回答企業からは「喫煙者が減ったため、全面禁煙を取り入れた」「非喫煙者手当を支給し、禁煙を促進している」「喫煙制限を設けていないが、喫煙者は自発的に場所・時間を考えて喫煙している」――などの声が寄せられた。
全面禁煙の実施率を事業別にみると、不動産業(44.1%)、金融業(38.2%)、サービス業(33.2%)などで高かった一方、運輸・倉庫業(14.0%)、製造業(11.7%)、農林水産業(11.3%)では低い結果となった。
喫煙制限の効果は、「職場内がきれいになった」(61.2%)、「火事のリスクが軽減するなど、安全面が向上した」(34.3%)、「喫煙者と非喫煙者の公平性が向上した」(22.7%)などが多かった。
一方、病院などでは「敷地内を禁煙にした結果、患者などが隠れて喫煙するようになり、火事のリスクが高まった」とマイナス面を指摘する声も挙がった。
東京五輪などを背景に、厚生労働省や地方自治体は喫煙に対するさらなる規制強化の立案を進めている。こうした動きに対し、69.3%の企業は「影響はない」と答えた一方、飲食店では半数近くが「マイナスの影響が予想される」と回答した。
帝国データバンクは「厚生労働省や地方自治体は、規制強化が企業業績に与える影響を検証した上で、エビデンスに基づいた政策立案を行うべきだ」と提言している。
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