やっぱり政治家の「プレゼン力」はスゴい:常見陽平のサラリーマン研究所(2/3 ページ)
ビジネスパーソンは投票に行くだけでなく、候補者の演説を聴きに行ってほしい。政党や政治家の方針を聞く場である一方、プレゼンテーションの技術を学ぶ場にもなるからだ。
参考になる政治家のプレゼン技術
先日、立憲民主党から立候補した北條智彦氏(東京11区)の演説を聴いてきた。応援演説には、元民主党党首の蓮舫氏がやってきた。
この蓮舫氏の応援演説、破壊力が抜群だった。目の前で見る蓮舫氏は、小柄ですらっとしている。トレードマークの白い服を着ている。「かわいい」というヤジが飛び、それに対して「もっと言ってください」と笑いかけ、優しい表情を見せる。続いて「いいオンナ!」という、ややセクハラ気味のヤジが飛んだがそれはスルー。いきなり怒り口調での独白が始まる。ここ数年、安倍政権の暴走を許してしまったことへの反省と怒りの弁だった。
その後は、安全保障、消費税、原発など、各テーマが提示され、それに対する与党の方針への批判、我が党が目指すものついて、演説が行われた。あまり政治に詳しくない人にとっても、何が問題なのかが分かりやすくかみ砕かれていた。
ずっと怒りの口調というわけではなく、ところどころは声を押し殺して話す、拳を振り上げる、指で数字を出す。こうした動きは、いちいち聴衆の目を引く。最後はもちろん、立憲民主党だけでなく、北條智彦候補への応援をお願いし、演説は終了。駆けつけた聴衆全員と握手をし、希望者との写真撮影にも応じていた。
もちろん、政治とビジネスは違う。ただ、通じる部分もある。内容においては、自社のコンセプトや、競合他社との違いを明確化すること、打ち手の意義と効果を説明することなど、当たり前のようで、日々の業務では忘れがちなことが行われている。
プレゼンテーションにおいては、自分のイメージカラーなど、見た目のコンセプトづくり、メリハリのある話し方、誰にでも分かる言葉使い、さらには誰もが自分事だと思ってくれる工夫、身振り手振りを加えて表現することなどが参考になる。
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