ヤフー、ショッピング事業への投資に手応え:減益要因だが……
ヤフーが2018年3月期第2四半期(17年4〜9月期)の連結業績を発表。広告事業が好調で増収だが、ショッピング事業への投資が響き減益となった。
ヤフーは10月27日、2018年3月期第2四半期(17年4〜9月期)の連結業績を発表した。スマートフォン広告の好調やショッピング事業の成長から、売上高は前年同期比4.5%増の4280億円に。一方、Eコマース事業への販売促進費が響き、営業利益は5.4%減の949億円だった。
今期、メディア事業に次ぐ新しい柱を育てるべく、Eコマースとビッグデータなどのデータ技術への先行投資を行っているヤフー。17年7〜9月は、Eコマース取扱高を最大化するためのプロモーションなどに149億円を投じている(データドリブン化への投資は非公開)。
コマース事業は、売上高2837億円(5.5%増)、営業利益393億円(8.2%減)。事業全体での取扱高と広告売上高はともに増加している。特に注力する「Yahoo!ショッピング」の購入者数は新規・既存ともに伸びた。
「Yahoo!ショッピング」は月額有料サービス「Yahoo!プレミアム」会員を優遇する施策を導入。また、ソフトバンクグループのシナジーを生かし、6月からはソフトバンクのスマートフォン利用者が「Yahoo!プレミアム」の特典を使えるプランを提供している。その結果、プレミアム会員数は前年同月比568万人増の1793万人に。プレミアム会員による取扱高比率も拡大している。
「4年前にEコマース注力の方針を発表したときは、主要なEコマースサービスが成長する中で、Yahoo!ショッピングが圧倒的に負けていた。しかし今は、出店数や商品数は国内1位に。購入者数も、『プレミアム会員が一番お得になるショッピングモール』としてプレミアム会員に向けた施策を打つことで、流通が伸びるという型が見えてきた」(宮坂学社長)
2月から始めたオークションサービス「ヤフオク!」と「Yahoo!マネー」の連動施策も好調な滑り出し。「ヤフオク!」での売り上げを「Yahoo!マネー」で受け取るとポイントが付与されるキャンペーンを行ったことで、残高が急拡大した。今後は、その残高を「Yahoo!ショッピング」などヤフーの他サービスの支払いに利用できるようなエコシステムの形成を目指す。将来的にはオフラインの店舗でも「Yahoo!マネー」が使えるようになることを目指しており、ヤフー社内の食堂やカフェなどで利用テストを始めているという。
堅調なメディア事業は、1日の利用者数(DUB)が約9300万人に。そのうちスマートフォン経由は67.3%に上る。こうしたスマホユーザーの数を背景に、スマホ向けの広告売り上げは前年同四半期比で20%増と大きく伸びている。
18年3月期通期の業績予想は据え置いた。
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