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新型「aibo」はソニー復活のシンボルかロボット事業に再参入(1/2 ページ)

「今こそが、愛情の対象となるロボットの開発に再び取り組む時期だ」。ソニーが新型「aibo」を発表した。

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 「今こそが、愛情の対象となるロボットの開発に再び取り組む時期だ」──犬型ロボットの新型「aibo(アイボ)」を発表したソニーの平井一夫社長は11月1日、都内のソニー本社で開いた発表会でこう話した。1999年に初代を発売した「AIBO」はソニーの挑戦と遊び心のシンボルでもあったが、一時は撤退。その後ソニーの業績も低迷したが、20年ぶりに最高益更新を見込むソニーとともにアイボも復活する。

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復活した「aibo」
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かつてのAIBO(最終型ERS-7M3)

 2018年1月11日に発売する新型「aibo」は、これまでの犬型の姿がよりリアルになった上、クラウドと連携する独自のAIにより、より学習機能や感情表現が深まっているのが特徴だ。本体価格は19万8000円(税別)で、別途通信機能を利用するためのプランに加入する必要がある。

 初代「AIBO」は21世紀を目前にした1999年に誕生した。「志を持ち、自分で考えて行動し、学習する」というかつてないロボットだった。当時はユニークな個性が人気となり、多くのオーナーに迎えられた」(平井社長)。だが2006年には製造・販売を中止。「厳しい判断を下さざるを得ない状況に陥り、心が痛かった」(同)。

 その後、AI技術やロボティクスが発展し、将来を占う最重要技術と目されるようになった。ソニーも研究開発は継続しており、機は熟したとして新型aiboを1年半前から開発を開始。平井社長も現場に足を運び、指示を出してきたという。

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aiboを発表する平井社長(右)と川西執行役員

ソニーにとって「1つの挑戦に過ぎない」

 「犬だからワンワンワンで11月1日に発表した」と笑うソニーAIロボティクスビジネスグループ長の川西泉執行役員は、新型aiboについて「ソニーで唯一、自発的、能動的に人に近づき、人に寄り添うプロダクト」だと説明する。

 新型aiboは人から呼び掛けられるだけではなく、本物の犬のように、自らオーナーに近づいて甘えるなどし、オーナーの優しい言葉や笑顔などを認識して学んでいく。本体にLTE通信機能を内蔵しており、本体のAIとクラウド上のAIを連携させることで「さらに賢くなる」という。

 「先代の販売停止から約10年がたち、感慨深い。初代と比べると、AIの技術が最も進歩した。周囲の環境を把握し、慣れ親しんで行動範囲を広げたり、優しいオーナーには愛情を返し、きずなを深めたりすることができる」(川西氏)

 ソニーにとってはロボットビジネスは再参入になる。「ここから消費者向けロボット事業をリスタートさせたいとの思いをこめ、先代と同じ名前をつけた」(川西氏)。新型aiboは幅広い層をターゲットとしているが、「子どもがいる家庭と相性が良さそうだと考えている」という。目標販売台数は非公開だが、「先代AIBOは15万台出荷したので、それは超えたい」という。

 犬型ロボットである新型aiboは人間の言葉を認識はするが、自ら言葉を話すことはない。対話機能は別のロボットに搭載する予定という。

 川西氏は「新型aiboの発売は、1つの挑戦にすぎない。今後はソニーの伝統的な開発力を生かし、AI・ロボティクスの分野でさまざまな提案を行っていく。エンターテインメントロボットだけではなく、B2Bも視野に入れている」と話している。

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