コメダが“コッペパン”に注力し始めた理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/3 ページ)
コメダ、ドトールがコッペパン専門業態に進出。幅広い層に支持されており、ヒットしている。大手コーヒーチェーンがコッペパンに力を入れる狙いとは?
パン目的の来客を増やす
同じく、コーヒーチェーン「珈琲所コメダ珈琲店」は今年4月、名古屋市にある「名鉄百貨店本店」で、コッペパンの専門店「コメダ謹製 やわらかシロコッペ」を1カ月限定でオープンしたところ、好評を博した。
そこでニーズが高いと判断し、9月1日から東京スカイツリータウンの商業施設「東京ソラマチ」でも展開している。ショップは2階にありテイクアウトに特化している(期間は2018年1月8日まで)。
さらに、9月27日には名鉄百貨店本店で販売を再開。地下1階スイーツステーションで、常設1号店をオープンした。1968年創業のコメダであるが、近年の好調さはよくメディアで伝えられる通り。間もなく創業50周年を迎えるということで、新規事業を手掛ける機運が社内に高まり、形になった。
コメダの広報によれば、「コッペパンはブームだから始めたのではなくて、パン販売強化の一環。喫茶店とは全く別の業態で、喫茶店でコッペパンを売る予定はない」としている。
コメダで売っている、サンドイッチやハンバーガーに使っているパンは自家製で、自社工場にて製造している。このパンのおいしさをもっと広く知ってもらうために、コッペパンを開発したとのことだ。つまり、コメダの喫茶に行ったことがない人にも、自家製パンのおいしさを体験してもらい、パンを目的に足を運んでもらおうという狙いがある。
最近、コメダに行くと「山食パン」を販売している旨のステッカーが、店内のあちこちに貼ってあり、レジ前に並べて売っている。これが結構売れるのだそうだ。ならば喫茶の付随的にパンを売るのでなく、むしろパン単独で勝負したいと考えた。名古屋では1日に1500個を売る日もあり、上々の立ち上がりとなっている。
「コメダ謹製 やわらかシロコッペ」の商品の特徴は、上質な小麦粉を使用し、時間を掛けてゆっくりと生地を発酵させる低温発酵で小麦粉のうまみと香りを引き出していること。さらには生地を低温でゆっくりと焼き上げるので、白さを残しながらも、しっとりほわっほわの食感を実現している。
オープンキッチンになっており、店員がコッペパンに具材を入れて作っている風景が見えるので、見た目も楽しい。
パンフレットに具材は14種類記載されているが、期間限定商品も用意。価格は220〜360円くらいで、大半が200円台だ。
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