成長する人は、常に「自分ごと」として考えている:常見陽平のサラリーマン研究所(2/2 ページ)
物事を「自分ごと」として考えられるかどうかは、とても重要だ。その視点を加えるだけでモノの見方は大きく変わるし、自身の成長につながるのだ。
「自分ごと」として考えられるかどうか
物事を「自分ごと」として考えられるかどうかは、とても重要だ。自身の成長に大きく影響する。
例えば、記事の読み方についても同じことが言える。
ネットニュースで、ビジネスの成功事例のようなものがよく取り上げあられる。ヒット商品の仕掛け人がそのプロジェクトストーリーを語るものだ。まあ、このコラムで再三触れてきたように、この手の話はだいたい「盛って」いて、「アレオレ詐欺」的に実は真の仕掛け人は他にいるパターンなどがあるが、とはいえ、ビジネスの参考にはなり得るものではある。
この手の記事に接する際、多くの人はその人が言うことを鵜呑(うの)みにすることで終わっている。見落としがちな視点は、「自分の業務に置き換えた場合に学べる点は何か」「自分だったらどうしていたか」「自分はその仕事を成し遂げることができたか。できないとしたら、どんな力が足りなかったか」など、「自分ごと」として学び直すことだ。
この思考をしない限りは単なるいい話で終わってしまう。「自分だったらどうするか」という視点を加えるだけでモノの見方は大きく変わるし、自身の成長につながる。
お勉強熱心な人は事例をひたすら収集する。その気持ちは分かるが、「自分ごと」まで踏み込まないと意味がない。
そんなことを考えていると、超絶良著と出会ってしまった。営業職向けのビジネス書『営業力100本ノック』(日本経済新聞出版社)だ。営業の心構えから、営業戦略の立案と実行のポイントを解説している。
著者の北澤孝太郎氏はリクルートやソフトバンクなどで営業部長を歴任した営業のプロ、いや神である。現在は東京工業大学で特任教授をしている。
この本が秀逸なのは、ひたすら「あなたならどうするか?」「あなたはこれができているか?」「あなたはどうしているのか?」という問いかけをしている点だ。「あなたにとって仕事とは何でしょう?」「自社の営業の特徴は何でしょう?」「自社が創り出せる競合との違いは何ですか?」――といった具合にだ。いちいち本質的な問いである。
この問いに対して、考えるヒントや、具体的なノウハウ、エピソードが並んでいるのが秀逸である。物事を自分ごととして考えるキッカケになる本だ。ぜひ、参考にしていただきたい。
常見陽平のプロフィール:
1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。
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