「友人の紹介」で転職するリスクとは?:常見陽平のサラリーマン研究所(2/2 ページ)
友人から「うちの会社で働かない?」と誘われた経験がある人もいるだろう。誘われて悪い気はしないが、友人の紹介で転職する際には、気を付けなければならないことがある……。
友人の言うことを鵜呑(うの)みにしない
この連載の読者は年齢的に「転職モテキ」であることから、「俺んとこ来ないか?」と誘われる機会もボチボチあるだろう。その際の注意点について考えてみたい。
一言で言うと「冷静になれ」「よく考えろ」ということに尽きる。友人に誘われて、そこに飛び込むのが本当に良いのか、立ち止まってほしい。
例えば、ベンチャーの場合は方針がよく変わるので、飛び込んでみたら友人から聞いていたポジションが消えていたなんてこともある。また、「うちはこんな社風だよ」と教えられたとしても、急成長中の企業であれば事業拡大に伴い体制も変わるだろうし、風土も変わっていく。このように「聞いていた話と違う」というリスクも大いにあるわけだ。
もちろん、友人に誘われて悪い気はしないだろう。ただ、この手のことは、安易に参加するが故に、友人をなくしてしまうことだってあるのだ。以前、布袋寅泰氏と吉川晃司氏によるスーパーロックユニット「COMPLEX」というものがあった。人気を呼んだが、その後、ケンカ別れした。布袋氏は「COMPLEXさえ組まなければ、少なくとも友達(吉川氏)を失くす事はなかった」と発言したと言われている(もっとも、東日本大震災復興支援チャリティで1晩だけの復活をしたのだが)。
ついつい、仲間が誘ってくれたからと美談になりがちなのだが、その人物よりもその企業のことを評価する必要がある。
私自身も、友人、知人、元上司などから誘われたことも何度もあった。いや、振り返ると今までの就職、転職は全て人の誘いによるものだった。とはいえ、お断りしたパターンに関しては、「この人は自分に合っているけど、この会社は合わないなあ」と思ったからだった。
「俺んとこ来ないか?」と言われた場合は「俺」ではなく「俺んとこ」(会社)に注目するべきだ。つまり、人よりも会社を見て決めろ、と。もちろん「この人についていこう」と思う瞬間もあるだろう。何かこう、心が動かされる瞬間というものはある。だから、仕事人生は面白いだが。
常見陽平のプロフィール:
1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。
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