それでもやっぱり、サンフランシスコと「姉妹都市」を解消してはいけない:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
サンフランシスコ市が「慰安婦」像の設置を承認したことで、大阪市長が姉妹都市解消の手続きに入ることを表明した。これを受け朝日新聞は「ちょっと待ってほしい」「冷静に」などと書いたことで、ネット上ではちょっとしたお祭り騒ぎに。本コラムの筆者、窪田氏はこの事態をどのように見ているのかというと……。
「お前が言うな」「無罪放免になったとでも勘違いしているのか」――。そんな怒りの声があちこちでわきあがっていそうだ。
米・サンフランシスコ市が中国系の市民団体から寄贈された「慰安婦」像を承認したことで、大阪市の吉村洋文市長が姉妹都市解消の手続きに入ることを表明した。これを受け朝日新聞は社説で、国が違えば考え方が違うのは当然であり、その違いを乗り越えることが大切だ、なんて調子で人の道を説き始めたのである。
いまさら説明の必要もないが、この新聞は3年前、吉田清治という虚言癖のある人物のダイナミックな詐話にひっかかって、旧日本軍が若い朝鮮人女性たちを問答無用で連れ去って性奴隷にしたという「従軍慰安婦」報道を行ったことを訂正・謝罪している。
そんな人たちがしれっと「ちょっと待ってほしい」「冷静に」とかお説教を始めたら普通の人でもイラっとくる。実際、吉村市長も以下のようにかみついた。
『「ちょっと待て」はこっちのセリフだよ、朝日新聞。吉田虚偽証言を何度も報道し、クマラスワミ報告に発展し、国際社会では朝日の虚偽報道が真実になっている。2014年になってやっと国内向けに訂正記事と謝罪。僕を批判する前にやることあるでしょ』(11月19日)
カチンとくる気持ちもよく分かる。
拙著『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)のなかで詳しく述べているが、朝日新聞で「従軍慰安婦」や「南京事件」というキーワードが見出しに踊る「反日報道」のトレンドは1991年にピークを迎える。その翌年に、現在まで続く韓国の日本大使館前で「謝罪」を求める水曜会がスタートし、日韓の政治プレイヤーたちも参入して、泥沼の戦いとなっていった。
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