なぜカルビーは「やめられない、とまらない」を社員が考えたことにしたのか:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
「やめられない、とまらない」――。かっぱえびせんのCMコピーを編み出したという元広告マンが、「名誉」を傷つけられたとしてカルビーを訴えた。カルビー側は「コピーは社員が考えた」としており、両者は争うことに。この問題、なぜモヤモヤするのかというと……。
よく似た意味のコピーがちょいちょいある
このトラブルを耳にして、まずモヤモヤするのはクレームの「神対応」が話題になるようなカルビーが、元広告マン氏の主張と真っ向から対立する「社員が考えた」と言い出すなどの「塩対応」に転じたのかということだ。
『週刊新潮』の取材に対して、カルビーは「面会のご要望に可能な限り真摯に対応させて頂いておりましたが、今回提訴されたことは誠に残念でなりません」と答えている。公判に影響を与える以上、企業としてはまだなにも言えませんというわけだ。
というわけで、ここからはまったく個人的な想像なのだが、元広告マン氏の主張がすんなり受け入れられないのは、「やめられない、とまらない」というキャッチコピーの「ビミョーさ」にあるような気がしている。
ケチをつけているわけではない。元広告マン氏があのフレーズをひらめいたのは紛れもない事実なのだろうが、少し視野を広げてスナック菓子業界全体を俯瞰(ふかん)してみると、「やめられない、とまらない」とほぼ似た意味のコピーがわりとちょいちょいある。
例えば分かりやすいのが、1932年に誕生したフリトレーのポテトチップス「レイズ」である。ドン・キホーテなどで見かけるこの老舗ポテチメーカーは、それまでは手作りしかなかったポテチを機械によって大量生産し、初めてテレビCMを展開したスナック菓子メーカーとして知られているが、以下の有名なコピーを生み出したことでも有名だ。
「Betcha can't eat just one」(きっと一袋だけじゃ物足りない!)
ポテチの「中毒性」をストレートに、そしてシンプルに表現したこの名コピーによって、レイズのポテチは全米のみならず、世界中で売れに売れたのである。
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