中国の「日本食ブーム」が後押し 日本酒の輸出総額、過去最高を更新:中国で日本酒が花開く
日本酒の輸出総額が過去最高を更新。後押ししたのは急速に伸びるアジアからの需要だ。熱視線が送られていた中国で、日本酒ブームが花開こうとしている。
日本酒造組合中央会は2月20日、2017年の日本酒の輸出総額が186億円を突破し、過去最高となったと発表した。堅調な米国と、急速に伸びるアジアからの需要が後押しした。
国別輸出金額の1位は米国。2〜5位は、香港、中国、韓国、台湾――とアジアの国々が並んだ。特に成長が著しいのは中国で、金額は昨年比83%増、数量も同74%増と急拡大。日本酒造組合中央会は「長年、各酒蔵が熱視線を送り続けていた中国で、日本酒ブームがついに花開いた」と喜ぶ。
日本酒需要の背景は
海外での日本酒の需要の多くが、日本食レストランでの消費だ。日本食レストランが増えれば、日本酒の消費が増え、また現地の日本酒好きの層も増えていく――という構図になっている。
17年の外務省調査によると、海外における日本食レストラン数は約11.8万店(15年の8.9万店から30%増)と大きく伸びた。いち早く日本食ブームが起こった北米での店舗数は微増にとどまるが、アジアでは急増し、約6万9300店と2年間で1.5倍となっている。アジアでの日本酒市場の成長は、日本食レストランの増加によるものだ。
10年ほど前の中国では、日本酒は現地の日本人が消費するものだった。しかしここ数年、日本産の日本酒を高級品として愛飲する層が着実に増えている。「久保田」や「獺祭」などの有名ブランドは、「爆買い」の対象となったほど知名度が高い。また、日本に訪れた中国人の「日本で味わった日本酒を、再び中国でも楽しみたい」というニーズも高まっているようだ。
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