年収を3倍にした、常見流の5カ条:常見陽平のサラリーマン研究所(3/3 ページ)
今回のテーマは「フリーランス」。サラリーマンからフリーランスになり、年収を3倍にした経験がある私が、そのノウハウを惜しげもなく公にするぞ。
夢を諦める期日を決める
(3)ライスワーク、ライフワーク、ライクワークのバランスを大切に
フリーランスに必要なのは、まずはライスワークだ。食べていくための仕事である。特にやりたい仕事ではなくても定期的に案件があり、ギャラも良い仕事である。
ただ、それだけだと疲弊する。人生をかけて取り組むライフワーク、さらには自分らしくあるためのライクワークのバランスが必要だ。なお、この3つが重なると「理想の仕事」になりそうだが、それもまた危険だと認識しておきたい。というのも、逃げ場所がなくなるし、新しい自分に出会えなくなるからだ。バランスを意識しよう。
(4)ポジショニングを意識しよう
自分のしている仕事、専門分野で自分はどのポジションにいるかを常に意識しておくとよい。戦略で重要なのはポジションなのだ、ポジション取りがうまいと、ストレスなく、競争することを少なくして働くことができる。
例えば、20代後半で売れているのフリーのライター、編集者は誰か。それをマッピングすると現在はどうなっていて、これからどうなりそうか。これを意識すると生き残るための方向性を見つけ出すことができる。自分のポジションを明確にしよう。
(5)夢を諦める期日を決める
もし独立してうまくいかなかったら、会社員に戻ることだって選択肢になりえる。夢を叶える期日も大事だが、夢を諦める期日も大事だ。これは盟友の中川淳一郎氏が傑作『夢、死ね!』(星海社)で提唱していたコンセプトである。
人によって賛否を呼びそうだが、私が特に大事にしていることは下記の3つである。
- ギャラを聞かない、交渉しないこと。
- 自然体でいくこと(結果として、キャラを確立すること)。
- 営業しないこと。
ギャラ交渉で疲弊するのはごめんだ。ギャラを聞かないことで、結果としてストレスなく仕事ができているし、ギャラもアップしてくる。
よくセルフブランディングというが、私は常に自然体だ。結果としてキャラ立ちを実現しているのだが。そうすると、自分にあった仕事がくるようになる。
「営業しない」ことも大事にしている。結局、疲れるだけなのだ。それよりも、依頼された仕事を自分色に少しでも染める方が楽しい。
というわけで、フリーランスになる担当編集者へのエールであり、ノウハウ公開だった。また仕事をしよう。実に楽しい日々だった。3月からの連載、テイスト変わるかもよ。
常見陽平のプロフィール:
1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。
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