疑義解消の「セーラー万年筆」がストップ高 100色セットのインクも発売:不採算事業廃止が奏功
セーラー万年筆がストップ高に。業績が改善し、「継続企業の前提に重要な疑義」を解消するため。万年筆用インク事業をさらに伸ばすため、100色セットのカラーインクも発売する。
3月5日の東京株式市場で、万年筆の製造・販売を手掛けるセーラー万年筆(東証2部)が急騰し、一時値幅制限の上限(ストップ高)まで値を上げた。
セーラー万年筆の株価は午前10時55分、前営業日比80円高(+31.9%)の331円を付けてストップ高となった。終値は同28円高(+11.2%)の279円だった。終値ベースの値上がり率は全市場で10位。
セーラー万年筆は近年、継続して最終赤字を計上しており、財務諸表に「継続企業の前提に重要な疑義」を記載していた。対応策として2016年度に3年間の中期計画を策定し、主力の文具事業・ロボット事業に経営資源を集中。不採算事業の廃止を進め、経営基盤の強化を行ってきた。
同社は2日、その施策が奏功し、18年度は最終黒字に転換する見込みだと発表。疑義の記載も解消するとしたため、好感から買いが集まったとみられる。
「100色セット」のインクも発売
セーラー万年筆の業績改善に貢献したのは万年筆用インク事業で、出荷数は過去3年間で2倍に拡大。中でもカラーインクが好調で、色とりどりの文字やイラストを撮影し、SNSに投稿する若者や女性からの需要が増えているという。
万年筆用インク事業をさらに伸ばすため、同社は5日、オレンジ、グレー、ブルー、イエロー、ピンク――など100色をそろえたカラーインクのセット「万年筆用ボトルインク インク工房 染料 20ml」を7日に発売すると発表した。
販売する100色は、顧客から要望があった2万色の中から厳選したという。各色4個ずつ、計400個をセット販売する予定で、価格は税別48万円。初年度は出荷数15万個、売上高1億8000万円を目指すという。
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