「定期的な異動が生産性を落としている」説は本当か:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
新年度がスタートした。新たな部署に配属されて、「うまくやっていけるかな」と不安を感じている人も多いのでは。4月に「定期人事異動」を導入しいている企業は多いが、このシステムは本当に効率的なのか。ひょっとしたら生産性を落としているかもしれない。
昨日から新年度がスタートした。
人事異動で新たな部署へ配属されて、「うまくやっていけるかな」と内心ドキドキしている人や、初々しいフレッシュマンや新メンバーが加入したことで心機一転、がんばろうと決意を新たにした人も多いのではないだろうか。
もちろん、そんな感傷にひたる余裕などないよという人もいらっしゃるかもしれない。見ず知らずの地へ転勤を命じられ、あいさつ回りだ、子どもの転校手続きだ、なんてことに追われ、まだ段ボールさえ開けられてない、といった悲鳴がよく聞こえるのも、この時期ならではの風物詩だ。とにもかくにも、多くのサラリーマンにとって「新年度」は新たなスタートの季節であることに変わりはない。
そんな当たり前のことを言ってんじゃねーよ、という声が聞こえてきそうだが、実は世界的にみると、これはまったく当たり前ではない。「新年度の人事異動で一喜一憂」なんてエピソードトークを披露しても「あるある」とうなずいてくれるような国は滅多になく、むしろ、「なんで、そんな効率の悪いことをしてんの?」とドン引きされることのほうが圧倒的に多いのである。
先日も、ある企業の外国人経営者と話をしていたところ、心の底からワケが分からないというような感じで、こんな質問を投げかけれらた。
「なんで日本の役所や会社はせっかく仕事を覚えてきてところで配置換えをするのですか?」
いろいろと打ち合わせを重ね、苦労して人間関係を築いたビジネスパートナーがこの時期になると、メールで異動のあいさつをしてサクッと去っていく。後任の者にしっかり「引き継ぎ」をしたとは言うものの、口でああだこうだと伝えて物事がうまく進むほど、仕事というものは甘くない。
結果、取引先であるはずのこちらが、後任者にさまざまな仕事の進め方をレクチャーして、前任者くらいになるまで育てなくてはいけないことが、非効率極まりないというのだ。ひととおり、愚痴をこぼした後、その経営者は冗談っぽくこう結んだ。
「それだけ苦労しても、しばらくするとまたその人も異動してしまう。いま日本は生産性向上が話題になっているそうですけど、この定期的な配置換えを止めたら解決するんじゃないですか」
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