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昆虫農場に熱視線 世界の「タンパク質危機」救うか持続可能なタンパク源(5/5 ページ)

1ポンドの鶏肉を生産するために飼料は約2ポンドが必要だ。1人あたりの肉消費量は過去40年間で50%増大し、タンパク質危機の懸念が増大している。そこで注目されているのが「昆虫農場」だ。

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<規制というハードル>

人類は何世紀にもわたって昆虫を食べてきたが、欧米諸国には昆虫食の習慣がない文化が多く、今もなお食品規制当局にとっては想定外とされている。

欧州、カナダ、米国ではミズアブ幼虫の生産が認可を得た例は少数にとどまり、大半が水産養殖用である。家禽、豚、ペットフード用途での規制も、そこまで緩和されていない。

「魚は本来昆虫を食べるので、水産養殖用の飼料の一部として昆虫を使うのは消費者としても理解しやすい」とカーギルのアンクティル氏は言う。

消費者に受け入れられるためには、昆虫由来の飼料の安全性を徹底的に試験することが必須になるだろうと、米消費者連合の食糧政策研究所所長を務めるトーマス・グレミリオン氏は話す。

「動物への飼料の与え方を大きく変更するならば、その動物が昆虫由来の有毒物質を蓄積していないかどうかについて何らかの追加検査をやってもらいたい、と私なら考える」

昆虫養殖産業の規模が拡大するには何年もかかるだろう。だが、この事業がわずかなりとも市場シェアを確保するまでに成長すれば、飼料産業と環境にとっては大きな意味があるだろうと、自らも昆虫養殖事業を営み、北米昆虫養殖連合の会長を務めるロバート・ネイサン・アレン氏は語る。

「飼料に含まれるタンパク質の5─10%でも昆虫由来のタンパク質に置き換えられれば、多くの資源が節約されることになるだろう」

(翻訳:エァクレーレン)

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