なぜレオパレス21の問題は、旧陸軍の戦車とそっくりなのか:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
レオパレス21が「界壁」問題で揺れている。界壁とは、部屋と部屋の間を仕切るモノだが、同社の物件には屋根まで達成していないモノが複数存在していることが分かった。この問題に対し、筆者の窪田氏は「日本型組織のスタンダート、というか伝統だ」と指摘する。どういう意味かというと……。
日本型組織のスタンダードというか、「伝統」
だが、世の中そんなにうまい話などあるわけはなく、オーナートラブルが後を絶たない。それはレオパレスにもあてはまる。30年間一括借り上げで「空室や家賃滞納の有無にかかわらず、毎月安定した収入が得られます」(同社Webサイト)と言うから契約したのに、10年もしないうちに営業マンがやって来て言いくるめられて家賃を減額されてしまった。そんなことを訴えるオーナーたちが、「被害者の会」まで立ち上げて、レオパレス批判を展開しているのだ。
部屋探しをしている人に役にも立つし、相続税対策や不動産の有効活用もできる、とレオパレスと契約を結んでいるオーナーからすれば、振り向きざまに三沢光晴のローリングエルボーを食らって意識もうろう、足元もおぼつかないというようなノックアウト寸前の悲惨な状況なのだ。
もちろん、これらについてレオパレス側にも「反論」はある。『ガイアの夜明け』が放送されて、慌てて催した緊急記者会見では隠ぺい・放置は否定し、「施工業者に渡している図面と施工マニュアルの整合性に不備があった」「図面等と現場との照合確認が不十分であった」(同社ニュースリリース 5月29日)とヒューマンエラーだと説明している。
また、サブリース問題に関しても、レオパレス側は契約時に支払家賃の変動リスクについて書面や口頭で説明している、と同社Webサイトの「よくいただくご質問」に掲載。「固定期間経過後の一括借上賃料につきましては、経済事情の変動、近隣相場家賃、賃借需要の変動等を勘案したうえで、原則として2年毎に見直しの協議をさせていただきます」というパンフレットの抜粋部分をわざわざ赤線で囲んで「しっかりと説明しています」アピールをしている。
このあたりの事実関係は、いずれ法廷やジャーナリストのみなさんの調査報道によってハッキリしてくるはずなので、ここでとやかく言うつもりはない。
ただ、「被害者の会」の方たちが主張されるように、「30年間家賃保証」の説明に問題があったとしても、『ガイアの夜明け』に出てきた関係者が証言したように、「界壁なし物件」を20年間、社内で隠ぺい・放置していても特に驚かないし、むしろ「だよなあ」と納得してしまう。
レオパレスという企業がどうこうという話ではなく、美しいスローガンやおいしい話を触れ回りながらも、実際にやっていることは大きくかけ離れていて、弱い立場の人間に犠牲を求めるというのは、日本型組織のスタンダードというか、「伝統」だからだ。
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