「経営のカリスマ」カルビー松本会長に聞く、RIZAPにコミットする理由:「プロ経営者」インタビュー【特別編】(2/3 ページ)
日本を代表する経営者として知られる、カルビー会長 兼 CEO の松本晃氏。松本氏はなぜ、カルビーを去り、RIZAPグループに入ることを決めたのか。インタビューで経緯と今後の展望を聞いた。
初対面は1月、2月に口頭で合意
――RIZAP入りを決める舞台裏では、どのような交渉があったのですか。
松本氏: 今年1月24日の夜、瀬戸社長から「一度会って話を聞きたい」と誘いがあった。私の講演や雑誌のインタビューなどを見聞きし、興味を持ったようだ。新宿のホテル「ヒルトン東京」で会い、食事をしながらさまざまな話をした。
2月14日も朝から会い、RIZAPの事業について聞いた。当初、私はRIZAPについてあまり詳しくなく、ボディーメーク事業のイメージが強かった。だが、話を聞く中で多岐にわたる事業を手掛けていることを知った。その際に「4月以降、お暇があったら顧問などに就任してほしい。月に2時間程度でいいからアドバイスをもらいたい」と打診をもらった。その際、口頭では実は受諾していた。
その後、3月27日にカルビーから去ると発表した際、瀬戸社長ではない別の担当者から「顧問ではなく、もう少し深い仕事に関わってほしい」との連絡があった。この申し出を踏まえ、30日の昼に「ホテルオークラ東京」で会合を設けた。
その時に瀬戸社長から「経営を手伝ってくれませんか」と正式なオファーを受けた。ただ当時、具体的なポジションとして代表取締役は挙がったが、会長や社長などは出なかったと記憶している。
そこで先ほど述べた通り、瀬戸社長の人柄にほれ込んで参加を決めた。私は肩書で仕事をしているわけではないため「RIZAPに加われるなら立場は何でもいい」と返事をした。肩書を知ったのはごく最近のことだ。
――結果的に2人の代表取締役がいる体制になりましたが、瀬戸社長のお仕事とどう分担しますか。
松本氏: ボディーメークなどの「RIZAP関連事業」は瀬戸社長が担当する。新規事業、M&A、海外事業などは私が進める方向で考えている。瀬戸社長には、私の持っている良い所をたくさん使ってほしい。RIZAPグループには、1兆円企業、10兆円企業とどんどん成長してほしい。
事故なく猛スピードで成長させる
――RIZAPは過去最高の営業利益(5期連続増益)と売上高(6期連続増収)を達成するなど好調です。今後はどう伸ばしていきたいですか。
松本氏: 現時点では、私はまだカルビーの社員。いまお話できるのは、RIZAPをさらに早いスピードで伸ばしたいということだけだ。だが、成長スピードを上げるとリスクも伴う。自動車が時速40キロで走っても事故は起きにくいが、時速180キロで走ると事故の危険性は高まる。それと同じだ。
RIZAPは相当なスピードで成長したいと考えているはずで、リスクはある。クラッシュしては意味がないので、できるだけ助けたい。
関連記事
- 社員の働き方を変える実にシンプルな方法 カルビー・松本会長
「プロ経営者」として日本を代表するカルビーの松本晃会長兼CEO。今月末でカルビーの会長職を退任予定の松本氏に、同社での9年間を振り返ってもらうとともに、注力した働き方改革についてインタビューした。 - 残業手当はすぐになくしたほうがいい カルビー・松本会長
日本を代表する「プロ経営者」として、さまざまな経営改革を推進してきたカルビーの松本晃会長兼CEO。働き方改革にまつわる日本企業の問題点について、真っ先に「残業手当」を挙げる。 - 加藤厚労相を直撃 「高プロの要件を変更する考えはない」
「働き方改革関連法案」が参議院本会議で審議入りした。働き方改革の責を担う加藤勝信厚生労働相に「働き方改革」の望ましい在り方など、今後の方向性を聞いた。 - カルビー、松本会長兼CEOが6月に退任 理由は「任期満了」
カルビーが、代表取締役 兼 CEO(最高経営責任者)の松本晃氏が退任すると発表。取締役も辞任する。任期を満了したためという。 - ダーツで席決め 好業績のカルビー、成長の源はオフィスにあった!
2009年に経営体制を大きく刷新したカルビー。それが功を奏し業績を伸ばし続けている。松本会長の号令の下、さまざまな経営改革に取り組んできた。その1つが本社移転をきっかけに推進したオフィス戦略だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.