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怖さより安さ、住宅高騰の香港で人気呼ぶ「事故物件」「お買い得」(1/3 ページ)

香港にあるマンションの一室で、その部屋の持ち主が、暗くて狭い寝室の窓を指さした。窓は小さく、塞ぐことも簡単で、彼に言わせれば一酸化炭素中毒になるには格好の部屋だという。

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6月28日、住宅価格の高騰がとまらない香港では、事故物件が人気に。写真は過去に2度自殺が発生した部屋を紹介する、この部屋のオーナーで「事故物件王」の異名を持つン・グーンラウさん。8日撮影(2018年 ロイター/Venus Wu)

[香港 28日 ロイター] - 香港にあるマンションの一室で、その部屋の持ち主が、暗くて狭い寝室の窓を指さした。窓は小さく、塞ぐことも簡単で、彼に言わせれば一酸化炭素中毒になるには格好の部屋だという。

この部屋では過去に1人の男性が木炭を燃やして自殺。同じ部屋を借りていた女性警察官も、首つり自殺をしたという。

「だから非常に安く買うことができた」とこの部屋のオーナーであるン・グーンラウさん(66)は言った。

広さ30平方メートル程度の狭い部屋を、ンさんが購入したのは2010年。2件の自殺が起きたことで、価格は100万香港ドル強(約1410万円)で、当時の相場より3割も安かったという。

それから8年を経て、この部屋の値段は恐らく約440万香港ドルになっているだろうと、ンさんは推測する。

地元メディアから「事故物件王」の異名をつけられたこの白髪男性は、「ホンザ」と呼ばれる自殺や殺人などの悲劇が起きた事故物件への投機で名を馳せた。こうした物件を、時には相場より4割も低い価格で購入することができた。

だがここ数年、香港不動産価格の記録的な高騰を受けて、どんな事件が過去に起きていたとしても、こうしたいわくつきの住宅は見過ごすには惜しい「お買い得物件」だと、多くの人々が考え直すようになっている。

事故物件価格は、2013年には相場よりも3割程度安かったが、ンさんによれば、今年は値引き率が1割程度にとどまっており、過去1年間で、これまでになく急速に縮まっているという。

「最近の市場はクレイジーだ。非常に多くの需要がある」と、以前はフカヒレの販売を手掛けていた事故物件王のンさんは語る。「不幸な事件のあった物件を買うことは、いまや住宅を所有するために極めて現実的な方法となっており、競争が激しい」

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