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郊外で激化する「ママ人材」獲得競争 人手不足対策に大和ハウスが“次の一手”「主婦獲得の成否」が立地選択の決め手に(1/4 ページ)

深刻な人手不足から、関東圏の郊外では「ママ人材」の奪い合いが起きている。テナント企業が主婦層を採用しやすくするために、大和ハウス工業が仕掛けた“次の一手”とは――。

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 大和ハウス工業が「ママの働き方改革」の支援に乗り出している。同社最大級のマルチテナント型物流施設「DPL流山I」内に、テナント従業員向けの保育施設を完備した。丸紅ロジスティクス、センコー、ダイワロジテック、ヤマト運輸がテナント企業として入居し、保育施設を運営するのはキッズスペース付オフィスなどで実績のあるママスクエア(東京都港区)だ。

 大和ハウスは「職育近接」を旗印に掲げ、テナント企業が主婦層のパート従業員を採用しやすくするために今回の「保育施設設置」に踏み切った。「ママ」たちの採用を支援するために、なぜこのような差別化を図ったのか。担当者に話を聞くと、郊外では深刻な人手不足が問題になっている実態が浮かび上がってきた。

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敷地面積6万6500平方メートル、地上4階建てのマルチテナント型物流施設「DPL流山I」(大和ハウス工業提供)

「主婦が獲得できるか」が立地選択の決め手に

 「物流施設では、とにかく働き手が集まらないのが現状です。『いかに主婦を獲得できるか』が、施設建設の立地を選択するうえで決め手になっているほどです」

 大和ハウス工業 東京本店建築事業部の村上泰規第一営業部次長はこう漏らす。千葉県の京葉地区などでは物流施設が乱立している一方、人材獲得競争は激化している。働き手が好むような付加価値をつけないと人材を集められず、企業は採用のために知恵を絞っている状況だ。「バスで1時間ほどかけて通勤する主婦の従業員には、通勤分も時給換算して給与を払っている会社もある」(同前)という。そこまでしないと人手が集まらないのが現実なのだ。

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大和ハウス建築事業部の村上泰規第一営業部次長(大和ハウス工業提供)

 「こうした大規模物流施設を建設する前には、まずは人手が集まるかどうかを予測しなければなりません。その意味では、ママたちに『物流施設で働く』という選択肢をまず認知してもらうのが重要なのです。だからこそ『差別化』が必要です。

 テナント企業で働こうと思ったママたちにとっては、同じ建物内に子どもも預かってくれる保育施設があるのはまさに『一石二鳥』で、こんなに便利なことはないでしょう。ママスクエアさんと組むことによって、採用支援の差別化を図ることができ、今まで募集に応じてこなかった層も獲得できるようになりました」(村上次長)

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