中国「金融難民」の怒り爆発、P2P業者の破綻急増:破たん相次ぐP2P金融(2/2 ページ)
中国で、個人投資家から資金を集め、小規模な企業や個人の借り手に融資して高いリターンを約束するP2P金融業者の破たんが相次いでいる。
中国政府は、米国との貿易戦争や株式市場・人民元相場の急落にもかかわらず、自国経済と金融市場は健全であるとして国民を安心させようとしており、国策宣伝機関は活動を開始している。
政府系の主流新聞であるか独自色の強い刊行物であるかを問わず、中国本土のメディアは首都北京における抗議行動の動きをまったく伝えていない。
抗議に参加しようとした人々の多くは、指紋と血液サンプルの採取を強制され、北京への旅行を禁止された。130万元(約2100万円)の損失を経験した上海のP2P投資家によれば、抗議を前に北京行きの列車から排除された人さえいたという。彼女は身の安全を懸念して、氏名を明かすことを拒んだ。
デモが事実上鎮圧された後も、CBIRC本部の周辺では数百人の警備員が巡回しており、当局がいかなる形であれ社会不安に対して敏感になっていることを浮き彫りにしている。
CBIRCにはメールでコメントを要請したが、回答は得られなかった。公安部にもファクスでコメントを求めたが回答はない。
国営新華社通信は12日、政府がP2Pセクターのリスク低減に向けて10項目の措置を提案したと報じた。そのなかには、地方当局が新たなP2P業者やオンライン金融プラットフォームの設立を認可することを厳格に禁止したり、P2P融資の返済を逃れようとした借り手は中国の信用格付けシステムのブラックリストに記載されたりすることなどが含まれている。
<厄介な整理作業>
P2P金融という分野を開拓したのはレンディングクラブ
業界の拡大があまりにも急だったため、規制当局も追いつけなかった。
P2P金融サイトの多くは、商業銀行にとってはリスクが高すぎるとみなされかねない顧客に融資している。融資が焦げ付きそうな場合に資金を即座に引き揚げたいという投資家が多すぎると、流動性危機につながる場合がある。
また、露骨な詐欺の例もみられる。最も有名なのはe租宝で、90万人以上の投資家を巻き込む76億ドル(約8400億円)規模の、いわゆる「ネズミ講」詐欺である。
中信証券による7月の調査報告では、中国国内の株式市場に上場している企業100社超がP2P金融ビジネスに関与しており、そのうち32社はP2P金融企業の株式を30%以上保有している。
オンライン金融浄化キャンペーンの期限も6月30日とされていたが、中国政府はこれを2年間延長した。だが市場ウォッチャーによれば、この延長は事態を落ち着かせるどころか、より大きな不確実性を生み出したという。
この浄化キャンペーンのもと、現行の規制でさえ基準を満たして認可を得られるのは、1836サイト中、約100サイトにすぎないと中信証券は推測している。そのうち成功できるのは50に満たないだろう。
規模の大きな企業にとっては、恐らく規制強化が追い風になるだろうと専門家は指摘する。だが今のところ、この業界に参入している上場企業の株価は下落している。
米国株式市場に上場している中国のP2P金融企業の一部でも株価が急落。信而富の株価は年初来73%下落した。宜人貸
拍拍貸の関係者はコメントを拒否した。
和信貸はプレスリリースのなかで、リスクマネジメントを改善し「信用リスクをさらに低減する」としている。
宜人貸の過半数株式を保有する宜信の創業者でCEOのタン・ニン氏はロイターに対し、「業界全体にわたるパニック」がエスカレートすることを懸念していると語った。
タン氏は、規制当局に対し、中国の金融システムおよび経済にダメージが波及することを避けるために悪質な企業を処罰しつつ、優良なP2P金融企業を保護するよう「切迫感をもって行動する」ことを求めている。
「さもなければ、P2P金融産業は『冬の時代』を迎えることになる。非合法な企業も適格な企業も、すべての企業が打撃を受ける。全員が負け組になるという、誰も望んでいない状況になる」とタン氏は言う。
「小規模な企業は重要な、いや、最も重要な資金調達先を失うことになるだろう。これは金融システムだけでなく、実体経済にとってもダメージになる」
北京に住む投資家のワンさんにとって、打撃は大きい。彼とその家族は、今年末に住宅を購入すべく貯蓄してきた700万元(約1億1300万円)を2つのP2P金融サイトに投資していたが、どちらも閉鎖されてしまった。
投資はまったく回収できていない。
「私たちは暴徒ではなく、金融難民だ。私たちが求めているのは自分の資金を、少なくともその一部なりとも取り戻すことだ」とワンさんは語った。
(翻訳:エァクレーレン)
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