任天堂・宮本茂氏が語った「スマホ対応への苦悩」:「マリオラン」なぜ1200円?(4/4 ページ)
任天堂の宮本茂 代表取締役フェローが「CEDEC 2018」の基調講演に10年ぶりに登壇。10年で最大の変化は「スマホ」だったと明かし、「スーパーマリオラン」の開発などで苦労した過去を語った。
批判が原動力
家庭用ゲームで大成功した実績を持ちながら、スマホゲーム開発では苦悩も味わった宮本氏。講演の終盤には、「『ゲームが面白くない』と酷評される経験も数多くしてきた。だが、そのたびに『見返してやろう』とポジティブなエネルギーに変えてきた」と情熱の源泉が批判であったと明かす場面もあった。
「仕事場では、会議など堅苦しい業務も多く、なかなかポジティブになれない。だからこそ、常に笑って、雰囲気をほぐして、前向きに仕事をしていきたい」
「ゲームのアイデアはなぜ浮かぶのですか?」と若手などから質問される機会も増えているというが、宮本氏は「企画は常に考えているが、(技術的な問題などで)実現できないことが多々ある。没にしたアイデアは忘れてしまうのではなく、なぜダメなのかをラベルに書いて貼り、頭の中にしまっている。これが大事だ」と説く。
「たくさんの引き出しを持っていると、お風呂に入っている時や運転中、ダジャレを言った時など、ひょんなタイミングで(商品化につながる)ひらめきが浮かぶ」という。
「Nintendo Switchと段ボールを組み合わせる」というアイデアから生まれたキット「Nintendo Labo」は、世界各国でも人気は上々とのこと。
宮本氏は10年前と同じく「世界に打って出ると、ビジネスはぐっと楽になる」と世界展開の重要性を説き、「Nintendo Laboを世界中に広めたい」と意気込んだ。
10年後に向かって頑張ろう
漫画家を目指すヒロインが登場するNHKの連続テレビ小説「半分、青い。」を欠かさず見ているという宮本氏は、ヒロインが将来を思い悩んで眠れなくなるシーンと重ねつつ、「眠れなくなるほど自分を追い込み、ゲームのアイデアを生み出せる人材が1人でも多く世に出てほしい」と熱弁。
「そうすれば、世界に一矢報いることができる。10年後に向かって頑張りましょう」と呼びかけ、講演を締めくくった。
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