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米国でAI技術者の争奪戦、超売り手市場で賃金上昇トップは時給1000ドル(3/3 ページ)

AIの導入拡大に伴い、高いスキルを持ったこの分野の技術者が不足する事態が起きている。

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<売り手市場>

需要は、賃金を押し上げている。企業サイトに掲載されたAI関連求人の平均賃金は、2017年10月から2018年9月にかけて11%上昇し、年12万3069ドル(約1380万円)とグラスドアは試算する。

ニューヨークに拠点を置く10Xマネジメントは、企業の特定プロジェクトに必要な技術者を派遣している。同社のマイケル・ソロモン氏によると、トップのAI技術者は現在1時間あたり最大1000ドルの報酬を得ており、わずか5年前の3倍の水準になっているという。同社では、ブロックチェーン専門家と並び、AI技術者が最も高報酬の職種となっている。

カーネギーメロン大で材料科学技術を教えるリズ・ホルム教授は5月、需要の急増を実感した。機械学習を研究に使っていた博士課程の学生の1人が卒業する際、採用のオファーが殺到したのだ。そのすべてがAI関連で、材料科学技術とは無関係だった。

この学生は最終的に米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)に就職し、AIを使って世界の店頭でどのように商品を配置すべきかを研究しているという。「企業はいま、本当にこの分野の人材を欲しがっている」と、同教授は言う。

米電動工具メーカーのスタンレー・ブラック・アンド・デッカー初の最高技術責任者(CTO)として昨年就任したAI専門家のマーク・メイベリー氏も同意見だ。同社では、工具のデザインや生産にAIを組み入れているというが、メイベリー氏は詳細は明らかにしなかった。

「必要な才能を採用できているかといえば、イエスだ」とメイベリー氏は言い、「高くつくかといえば、それもイエスだ」と話した。

需給の逼迫(ひっぱく)は、AI技術を持つ求職中の学生には有利になる。給与が引き上げられて選択肢が増えるだけでなく、卒業のはるか前に採用オファーを得られることも多い。

カーネギーメロン大でAIと認知科学を学んだデレク・ブラウンさんは昨秋、学部4年生に進級した直後に、顧客管理ソフト大手セールスフォース・ドットコムからフルタイムの仕事のオファーを得た。ブラウンさんはそれを断り、今年7月からフェイスブックに勤務している。

(翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)

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