2015年7月27日以前の記事
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両親亡くした一人娘の挑戦 元ラジオDJが「自己破産」覚悟でめっき会社社長にパーフェクトウーマン 女性が拓く新時代(5/6 ページ)

完璧な人間はいない――。だが、仕事も私生活も充実させ、鮮やかにキャリアを築く「女性リーダー」は確実に増えてきた。企業社会の第一線で活躍する女性たちの素顔に迫り、「女性活躍」のリアルを探る。

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女性の活躍を阻んでいるのは、旧来型の制度

――最近、「女性活躍」が叫ばれています。伊藤さんのお考えをお聞かせください。

 子どもを預けられる環境さえ整っていれば、3年の育児休暇は長すぎるという気もします。1年で十分なのではないでしょうか。子育てに大事なのは、母子がベッタリと過ごすことではありません。接しているときにどれだけ深く愛してあげるのかが重要なのだと私は思います。

 さまざまな考えはあるかと思いますが、「第3号被保険者」や「配偶者控除」など、専業主婦になることを推奨するような仕組みはおかしいと思っています。収入が130万円を超えると第3号被保険者から外れる「130万円の壁」のように、女性が働く意欲を阻害する制度は、もう時代に合わないのではないでしょうか。

 年金制度は、働いてお金を稼いで社会に貢献した人のための制度だと考えています。ただ一方で、高級レストランのランチタイムが奥様だらけで、女の子が将来なりたい職業に「専業主婦」が上がっているという状況も耳にします。少し厳しい意見の様に聞こえてしまうかもしれませんが、みんな楽をすることばかり考えているのか、と思うことがあります。

 女性だからといって甘やかす必要はないのです。日本における女性の活躍を阻んでいるのは、女性たちを甘やかすような旧来型の制度なのではないでしょうか。

――日本電鍍工業は2057年に設立100年を迎えることを目標にしていますね。そのためには若くて優秀な人材を採り続けることが必要です。そのためにどんな努力をしていますか。

 一昨年に大きな設備投資をしてめっきの現場を一新しました。最も重視したのは社員が安全に清潔に働けることです。制服も変えました。がんばって働きたいと思える現場であることは生産性の向上にもつながります。

 63人の当社はフラットな組織で、役職者は私と30代後半の生産部長のみです。生産部長は技術力とリーダーシップの両面を考慮して選びました。社員全員が納得しています。

 人事部はありません。採用担当者は毎年変わり、今年担当した人が来年の担当者を指名するやり方です。自分の出身校にリクルートに行ったりするなど、社員それぞれが自由にやっています。

 何かやりたいという提案があれば、会社が潰れるようなリスクがない限りは自由にやってもらうのが私の方針です。いろいろやって失敗することも成長につながります。逆に、自ら何もやろうとしない人は給料が上がらないよ、と明確に言っています。

 年に数回、会社が費用を持つ飲み会もあります。業務として位置付けているので、全員出席が原則。遊びではなく、コミュニケーションの場だからです。「会社は気の合う人の集まりではないけれど、お互いにいいところを見る努力をしよう」と伝えています。

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設備投資をして現場を一新した。整然とした工場で、すれ違った社員は皆、「こんにちは!」と挨拶をしてくれた

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