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読んだら報酬、中国ニュースアプリ赤字覚悟の拡大策565万円相当を稼いだ人も(2/3 ページ)

上海で清掃員として働くカイ・リーさんは、中国ニュースアプリの「趣頭条(Qutoutiao)」にどっぷりはまっている。その魅力はセレブのゴシップ記事と、それを読むことで得る現金収入だ。

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<「注目」経済>

株式公開に向けた目論見書で、それぞれのユーザーに支払う金額を「わずか」と表現していた趣頭条だが、この戦略は決して安上がりとは言えない。

同社が直近の四半期で投じたマーケティング費用は10億元を超え、収益を上回った。それは、純損失の額にほぼ等しく、前年同期比に計上した同費用の7倍以上に膨らんだ。

「トラフィック獲得費用はますます高くなっている」と同社のWang Jingbo最高財務責任者(CFO)はロイターに語ったが、ユーザーへのキャッシュバックは重要な仕掛けであり、同社の長期戦略だと述べた。

「これは(顧客の目で見られることで価値を得る)アイボールエコノミーだ」と同CEO。「これまでは、コンテンツを見るために人々は料金を払わなければならなかった。だがインターネットが変化する中で、もう支払いをする必要はない。それどころか、今やユーザーは少しばかり稼ぐことを必要とするようになった」

趣頭条の株価は公開直後こそ急騰したが、その後4分の1に下落した。中国株を襲った全般的な景気減速と、期待を下回った業績の影響だ。同社の時価総額は現在、約13億ドルだ。

業界専門家は、趣頭条のような企業が、いつまで過剰投資戦略を続けられるか、また黒字転換できるのかを疑問視している。

「非常にやっかいな問題だ。支払う金額を減らせば、ユーザーは興味を失ってしまう。かといって、金額を増やせばコストがあまりにも高くなりすぎる」と、IT中心のベンチャーファンド、スカイチー・ベンチャーズのマネージング・パートナーで研究者のWei Wuhui氏は語る。

また、知名度の高い企業も含めた一部の中国企業が、割引などを気前よくユーザーに還元する一方で、市場シェアの拡大に向けて他のコストも負担している戦略についても、懸念が高まっている。

食品配達、レストラン予約、配車サービスなどを統合した「スーパーアプリ」を運営する美団点評<3690.HK>の株価は、先月急落した。これは主要ライバルとの激しい価格競争の中で、四半期の営業損失が3倍に拡大したことを受けたものだ。

プロメテウス・ファンドのZhang氏は、景気減速を反映してベンチャーキャピタルによる出資は絞られつつあり、テクノロジー企業にとっての重要な資金調達ルートが狭まっていると指摘する。

「いまは土台を築くためにひたすら資金を投下する段階だ。しかし最終的には価値を生み出し、黒字化しなければならない。赤字のままなのに、いつまでも資金を調達して支えようとする者はいない」。

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