「専業主婦バッシング」が、日本社会のブラック化につながってしまう理由:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
朝の情報番組『スッキリ』で、MCの加藤浩次さんが「専業主婦であることに罪悪感なんて持たなくてもいい」とコメントしたところ、ちょっとした騒動に。労働者不足や働く女性が増えたこともあって、専業主婦に対するバッシングが厳しくなっているが、筆者の窪田氏はこうした風潮に違和感を覚えるという。どういうことかというと……。
先週、一部の専業主婦の方たちが大激怒するような出来事があった。
きっかけは、12月13日の『スッキリ』(日本テレビ系)で紹介されたあるアンケートだ。人材サービス「しゅふJOBパート」の調査機関「しゅふJOB総研」が、専業主婦・主夫経験者を対象に「専業主婦・主夫であることに、後ろめたさや罪悪感のようなものを覚えたことはありますか?」という質問をしたところ、「ある」と答えたのは25.4%、「少しはある」は31.2%ということで、「罪悪感」を感じている人が半数以上も占めていたというのだ。
これを受け、スタジオではMCの加藤浩次さんなどが、「罪悪感なんて持たなくていい」とフォローをしたが、一部の専業主婦の皆さんの逆鱗(げきりん)に触れてしまったようで、「テレビ局になんでそんなことを言われる筋合いが」「人権侵害、名誉毀損レベル」という怒りの声が溢れてしまったのである。
もちろん、これは番組が調査したわけではなく、「主婦(夫)の働くを応援!」とうたう求人サイトを運営する企業が行なったもの。さらにもっと言ってしまうと、そこまで深刻に受け止めるような話でもない。ご存じの方も多いだろうが、マスコミの世論調査も質問の投げ方、たたみかけていく順番によって、回答が各社の論調と乖離(かいり)しないよう形で「誘導」できる。この「働く主婦アンケート」も然りで、「調査」の名を借りたPRなどと言うつもりは毛頭ないが、質問者側の「意図」でバイアスがかかった結果が出る可能性も否めないのだ。
だが、一部の専業主婦の方たちにそんな言い訳は通用しない。バイアスのかかった調査だと冷めた目で見ているような方でも、それを全国ネットでわざわざ取り上げたことに激怒している。
このようなすさまじい怒り、憤り、そして嘆きを見て強く感じるのは、専業主婦の中に、「私たちは常日頃から不当なバッシングを受けている」と感じられている方がかなり多い、ということだ。
「専業主婦」「批判」「働かない」などのキーワードでググっていただければ一目瞭然だが、実はネット上では近年、「専業主婦バッシング」が溢れているのだ。
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