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応募殺到! “水槽掃除”と“POP作成”を客に手伝わせる水族館の「ファン作り戦略」ショボいけど、勝てます。 竹島水族館のアットホーム経営論(3/5 ページ)

休日には入場待ちの行列ができ、入館者数の前年比増を毎月達成している水族館が、人口8万人ほどの愛知県蒲郡市にある。飼育員たちのチームワークと仕事観に迫り、組織活性化のヒントを探る。

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逆転の発想! 本来は見せない掃除作業をあえて客にやってもらう

 竹島水族館の「アットホーム戦略」を象徴する企画をもう一つ紹介したい。副館長の戸舘真人さん(関連記事)が発案した、客と一緒に水槽の掃除をするイベントだ。年末の寒い時期に、入館料に加えて300円の参加料まで払って掃除をしたがる人がいるのだろうか。以前に勤務していた水族館で思い付いた苦肉の策だと戸舘さんは振り返る。

 「竹島水族館以上にお金がなくて、営業時間中に水槽の掃除をしなければいけませんでした。残業代を出せないからです。どうせお客さんに見せてしまうのであればイベントにしちゃおうと思いました」

 ヤケクソの、いや逆転の発想である。希望者を募ったところ、意外なほどの応募があった。水族館の大きな水槽に入ってみたい人は少なくなかったのだ。

 この掃除企画は竹島水族館でも毎年実施。ただし、企画力の高い人材がそろっている竹島水族館には、「恒例」のイベントは少ない。常に新しい企画を生み出して、客を惹(ひ)きつけ続けている。ある年、掃除企画もマンネリ化していると判断した戸舘さんが開催を取りやめたところ、客から想定外のクレームが来た。

 「力仕事でもあるので、参加資格は小学生以上にしています。掃除イベントをやらなかった年に『なぜやらないのか。うちの子どもはようやく小学生になって参加するのを楽しみにしていたのに』とお叱りを受けてしまったのです」

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年末恒例の水槽掃除イベントの開始。営業時間中に行われる
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水槽に人間がいる様子は一般客によって鑑賞される

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