RIZAPの4〜12月期、最終赤字81億円も再建に手応え 松本晃氏「役目半分終えた」:瀬戸社長「来期は必ず黒字化」(2/2 ページ)
RIZAPグループが2018年4〜12月期の連結決算を発表。純損益は81億2600万円の赤字だったが、一部の傘下企業は好調に転じた。再建に尽力した松本晃取締役は「お役目の半分くらいは終わったかな」と心境を語った。
松本晃氏「役目の半分終えた」
業績改善に向けた体制変更にも注力しており、18年末には「構造改革担当の代表取締役」に就いていた松本晃氏が代表権を返上し、取締役となった。また、松本氏以外の社内取締役のうち7人が退任し、社内取締役2人・社外取締役3人の体制に移行した。執行役員制度も導入し、退任した社内取締役のうち5人が執行役員に就任。経営面の監督・執行を分離し、ガバナンスの改善を図った。
決算会見では、一連の改革を主導した松本氏が「お役目の半分くらいは終わったかなという感触は持っている」と心境を告白する場面もあった。ただ詳細については「瀬戸社長ともう少し一緒に働いてみたい。去就は真剣に考えていないわけではないが、決めていることはない」と明かすにとどまった。
松本氏は体制変更の裏側についても触れ、「構造改革は“けじめ”から始めた。みんなが悪かったわけではないが、少し間違ってしまったので、何人かの方が自らの意思でけじめをつけた」と明かした。
松本晃氏が語った“再建へのロードマップ”とは
松本氏は現在、瀬戸社長と頻繁にコミュニケーションを取り、経営再建に向けたロードマップ(工程表)を策定しているといい、具体的には(1)グループ会社の仕分けと再編、(2)コスト削減、(3)現在の主力事業とシナジーのある新規事業の創出――などを盛り込んでいるという。
「社名は言えないが、グループ会社は『成長産業』『それほど多くはないが、キャッシュを生んでくれる会社』『いろいろと問題のある会社』の3つに分けている。最後のグループは、瀬戸社長のフィロソフィー(哲学)である自己投資・自己実現とはちょっと違う(業態の)企業が該当する。これらは赤字を出そうが、黒字を出そうが、撤退・売却するか、別の形に事業転換する」(松本氏)
また松本氏は、業態が類似している複数のグループ会社を1社にまとめ、1人の社長に経営を任せる方針を示唆した。「これから1カ月以内にはっきりする。そちらの方が企業が簡素化していいだろう」という。
このほか、コスト削減については「グループ会社を見渡すと、無駄づかいが多いため、来年度(20年3月期)は50億円ほどエクスペンス(支出)を減らす」、新規事業については「健康という大きな軸にプラスして、私が専門としてきた医療という軸を加えたら面白いのでは」とそれぞれ説明した。
松本氏は、一連のロードマップを完遂すれば業績改善が近づくとの見解を示し、「一朝一夕にできるものではなく、少しは時間かかるが、一つ一つしっかりやれば(業績は)19年にはそれなりに回復し、20年にはV字回復ができるのではないだろうか」と展望を語った。
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