駅ナカで売れる“三種の神器”に変化 商機を見いだす“ローソンの野望”:日本最小級のコンビニ続々(2/4 ページ)
ローソンが駅ナカに積極的に進出している。単に目先の売り上げ増を狙っているだけでなく将来への布石でもあるという。ローソンの狙いとは?
駅ナカ店舗の“三種の神器”
JR東日本リテールネットが運営するNewDaysのように、鉄道事業者が独自に店舗を運営する選択肢もあるのに、なぜ東急や東京メトロは提携しているのだろうか。店舗開発を手掛けるローソンの開発本部副本部長兼法人開発部部長の垣内昇氏は「(鉄道事業者に)運営ノウハウの提供を受けるメリットがあるため」と説明する。
かつて駅ナカ店舗では「たばこ、雑誌、新聞」という“三種の神器”が根強く売れていた。品ぞろえを頻繁に変えなくても、ビジネスとして成り立っていた。しかし、これらを購入するお客の数は減りつつある。さらに、コンビニや量販店などが商品力を向上させた結果、消費者の選択肢は増えていった。いくら立地に優れている駅ナカ店舗であっても、魅力ある品ぞろえをしなければ競争に勝てなくなってきた。
駅ナカ店舗の売れ筋も変化してきている。ローソンの担当者によると、売れ筋がかつての三種の神器から、おにぎり、調理パン、ベーカリーに変化してきているという。働く女性の増加や生産性向上が叫ばれる中で、限られた時間で手軽に食事を済ませたいというニーズが高まっていることが背景にあるとみられる。仮に鉄道事業者が自社グループでおにぎりやパンなどを開発しようとすると、メーカーや問屋などと協業する必要があるが、そこまでできる余裕がないという。
単独での投資は限界
単独で会計や物流システムへの投資を行うのには限界があるという側面もある。垣内氏によると、セルフレジの普及が象徴するように、決済方法が多様化してきている。また、発注と物流を融合させるシステムも進化し続けないといけない。ローソンのシステムを活用すれば、発注がスムーズになるだけでなく、駅の外にある店舗に商品を納品したついでに、駅ナカ店舗へも商品を運んでもらえる。「鉄道事業者のお困りごとを解決できる」(垣内氏)のだ。
通常のコンビニでは、品ぞろえなどをアドバイスするスーパーバイザー(SV)が担当店舗を定期的に訪問している。一方、ローソンでは駅ナカ店舗専属のSVを配属しているという。例えば、東急で成果を出した手法を、東京メトロにも横展開することで、駅ナカ店舗のブラッシュアップを図っている。ローソンの担当者によると、駅ナカ店舗は通常店舗と比べて在庫を置くスペースが少ないため、発注方法を工夫する必要があるという。例えば、設定した在庫を下回ると自動的に発注する仕組みを構築し、品切れを防止している。
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