コラム
マンションの「個人賠償責任保険」って、不思議な商品:何のための保険なのか(2/2 ページ)
あまり一般には馴染みがないが、マンション管理組合が加入する「個人賠償責任保険(または個人賠償責任補償特約)」という保険(または保険特約)がある。近年大幅値上げされているようだが、その商品設計は一種不可思議なものである。
「えーそんなバカな」。A氏は絶句。
そこにとどめの理事長の一言。「実はここだけの話。この保険特約がカバーするのは、居住者だけです。なんと人に貸している区分所有者はカバーされないそうです。管理費を支払っている、つまり間接的に保険料を支払っている『このマンションに住んでいない区分所有者とその家族』は、このマンションに来た時に何か事故を起こしてもこの保険でカバーされないけど、管理費を支払ってもいない『借りているだけの居住者』は外で事故を起こしてもカバーされるんです」
「??? それって一体、本当は何のための保険なんですか?」A氏はあきれて黙り込んでしまった。
「……ねぇ?」。話を振ったはずの理事長も、先ほど必要説を唱えた長老ですら首をかしげている。
とまあこんな光景が全国で、いくつかのマンション理事会や総会で時折繰り返されるのではないだろうか。実に不思議なマンション保険、そして保険業界の話である。(日沖 博道)
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