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JR東海が「駅のない」奈良で観光キャンペーンを仕掛ける理由「国宝王国」の新たなコンテンツは“かき氷”(2/6 ページ)

JR東海が「駅のない」奈良で観光キャンペーンを仕掛けるのはなぜか? 「そうだ 京都、行こう」によって、京都を、日本を代表する観光地に押し上げた再現はなるか。

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古きものと新しきものの融合

 先述した通り、JR東海の奈良キャンペーンは05年に始まった。奈良の社寺や仏像を中心に据えてキャンペーンを展開してきた結果、シニア層のファンを多く獲得できた。その一方で、非シニア層へのキャンペーン浸透が課題の一つであったことから、近年は「Webサイトや動画、SNSなどインターネットを活用した若者向けコンテンツを拡充した」(檜垣氏)のだ。

 「奈良県には、例えば冬でも行列ができるかき氷店や、古民家をリノベーションしたおしゃれなレストランなど、おいしいものを食べられる場所がたくさんあります。また、奈良は清酒発祥の地であり、おいしい日本酒も数多くあります。社寺や仏像といった奈良ならではの魅力と、若者も楽しめる“食”や“おしゃれ”、“絶景”なども織り交ぜ、インターネットなどを通じて奈良の魅力をPRしたいと考えたのです」(檜垣氏)

 JR東海は「選りすぐりの観光情報」をWebサイト上で発信しているが、なかでも反響が大きかったのは「かき氷」の魅力をまとめた特集記事だという。「奈良は知られざる“かき氷王国”」(檜垣氏)であり、その魅力をまとめた「絶品かき氷を食べつくす」と題した特集を公開した後は、20〜40代の女性を中心に問い合わせが数多くあったそうだ。

 記者は奈良の魅力を確かめるために現地に足を運んでみた。東海道新幹線「のぞみ」に乗ると東京〜京都間は約2時間15分だ。京都駅で近鉄特急に乗り換えて約30分で奈良駅に着いた。そこから歩いて約10分の距離にある、かつての芸妓街「元林院(がんりいん)」に向かった。すると、古い町屋が立ち並んでおり、風情のある光景が広がっていた。

 記者は奈良に残る唯一のお茶屋である「つるや」(奈良県奈良市)に入ってランチをとった。そこには菊乃さんと菊愛さんという芸妓さんがおり、花街の歴史を教えてくれた。上品な和食が並び、普段なかなか体験することのできない情趣を味わうことができた。

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つるやの芸妓、菊乃さん(左)と菊愛さん
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ランチで出された麻婆豆腐
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つるやの風情ある外観

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