「バイトは教育で真人間にしろ」が、ブラック企業につながる理由:スピン経済の歩き方(1/8 ページ)
バイトテロ騒動で、コンビニや外食産業が揺れている。こうした事態を受けて、「バイトも研修を受けさせるべきだ」といった声が出ているが、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。どういうことかというと……。
本日、大戸屋が「全店一斉休業」している。
相次ぐバイトテロ騒動のなかで、大戸屋でも店内で「アキラ100%」のように下半身丸出しで、お盆芸をして遊んでいる不適切動画を投稿したことが発覚。そこで、再発防止のため全従業員を対象にして、SNSや仕事の姿勢など服務規程についての勉強会を実施しているのだ。
報道対策アドバイザーとして、この手の「危機」に関わることの多い経験から言わせていただくと、今回の大戸屋の対応は「お見事」の一言に尽きる
「お前らのせいで大損失だ」とバイトを訴える姿勢を見せた「くら寿司」、24時間営業を続けられなくなったオーナーに「契約違反」とペナルティーを求めたセブン-イレブンなど、人手不足に悩む外食、コンビニの「従業員に厳しいカルチャー」が際立っているなか、即座に「私たちの教育不足が悪うございました」と言わんばかりアクションをとったことで、好感度がグーンと上がったからである。
一斉休業による損失は1億円という話だが、ワイドショーなどでも大きく取り上げられ、広告効果は絶大で、レピテーション向上にも結びついている。まさにピンチをチャンスに、という模範的な危機対応といえよう。
事実、勉強会開催を発表してからは、「気の毒に」と同情する声だけではなく、「素晴らしい英断だ」というエールも多く寄せられているのだが、個人的にはこの風潮に一抹の不安を感じている。
業態・規模を問わず、不祥事が発覚した企業のトップたちが、まるでコピペしたように同じ立ち振る舞い、同じような言い回しで、謝罪会見に登壇することからも分かるように、日本の危機管理は基本、「前例主義」である。要は、成功パターンをそのまま丸パクリするスタイルなのだ。
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