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“会社員”が消える日――「雇用激減時代」の未来地図自分の仕事は自分で守れ(1/5 ページ)

AIやロボット、ICTの発達によって「会社員」が消えていく――。

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編集部からのお知らせ:

本記事は、書籍『会社員が消える 働き方の未来図(著・大内伸哉、文藝春秋)』の中から一部抜粋し、転載したものです。


 2018年6月29日、働き方改革関連法が国会で可決された。森友加計問題、財務省のセクハラ問題などで揺れるなか、会期を延長してようやく成立したこの法律は、残業の上限規制の強化、高度プロフェッショナル制度(日本型ホワイトカラー・エグゼンプション)の導入、いわゆる同一労働同一賃金に関する規定の整備など、世間の注目を集める改正を含んでいた。確かに、この「働き方改革」によって、これまでより働きやすい環境が生じるかもしれない。

 一方、政府が働き方改革関連法の準備を進めていた17年秋、日本人の今後の働き方を象徴するようなニュースも報道されていた。三大メガバンクが、次々と業務量の削減を発表したのだ。みずほが1万9000人、三菱UFJが9500人、三井住友が4000人分の業務を減らす、というものだ。これに符合するように、新卒採用を3割程度絞りこむという報道もなされた。学生は敏感に反応し、就職活動(就活)の人気ランキングで、銀行は順位を大きく下げた。

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働き方が変化することによって「会社員」という在り方が消えていく(写真提供:ゲッティイメージズ)

ビル・ゲイツ「銀行機能は必要だが、銀行は必要ではない」

 ビル・ゲイツは、1990年代半ばにすでに「銀行機能(banking)は必要だが、銀行(bank)は必要ではない」と述べていたが、金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)を融合させたフィンテックの急速な発達は、毎年1000人以上の採用を続けてきたメガバンクが、そう遠くない先に、大規模なリストラをせざるを得なくなることを、十分に予想させるものだった。

 実際、ビットコインなどの仮想通貨(暗号通貨)やネットを通じて直接、出資を募るクラウドファンディングの台頭は、銀行を介さない決済や融資の広がりを意味していた。世界では、銀行口座をもたない人が17億人(17年の世界銀行のデータ)に達しているとされ、日本でも、銀行口座をもたない外国人を想定して、給料を電子マネーでスマートフォンに振込む方式の適法化が検討されようとしている。決済、融資、預金という銀行の三大機能に翳(かげ)りが見え始めているのだ。しかも、銀行内の業務も、定型的な作業は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)という事務系ロボットに置き換わろうとしている。融資の判断も、いまやAI(人工知能)の業務だ。人間のやることは確実に減りつつある。

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1990年代半ばにすでに「銀行(bank)は必要ではない」と述べられていた(写真提供:ゲッティイメージズ)
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