なぜ「小僧寿し」は危機に陥ったのか 犯人は“昭和のビジネスモデル”:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
「小僧寿し」が債務超過に陥った。苦境の背景に「持ち帰り寿司の限界」とか「多角経営が裏目に」といった声が出ているが、本当にそうなのか。筆者の窪田氏は違う見方をしていて……。
昭和のビジネスモデルは限界
小僧寿し、ヤマト、セブンといった企業の苦境は、昭和のビジネスモデルがいよいよ制度疲労をきたして、限界だということを示しているのではないか。
世の中は新しい年号で浮かれているが、人口が減っていくこれからの日本は、昭和の「右肩あがり幻想」は根底から崩壊する。これまで売れていたものが売れなくなる。長蛇の列ができていた店が閑古鳥が鳴くようになる。そこはロボットだ、AIだ、アップデートだなんだと格好いいことをいうが、ロボットやAIは寿司も食べないし、コンビニでおにぎりも買わない。
ガッツリと移民を受け入れない限り、国内需要は減っていくのだ。
小僧寿しの危機は、これから我々が本格的な「人口激減時代」に向きわなくてはいけないことを教えてくれているのではないか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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