日本は給料の低い微妙な国になる、これだけの理由:古市憲寿VS. ひろゆき(前編)(2/4 ページ)
働き方改革が叫ばれながらも、日本企業の生産性はなかなか上がらない。今後の成長が危ぶまれるポスト平成時代、私たちはどのように働けばいいのだろうか。社会学者の古市憲寿氏と、元2ちゃんねる管理人のひろゆき氏に、これからの「働き方」について語ってもらった。
フランスの若年失業率が高い理由
ひろゆき: ベーシックインカムにして、会社をクビになっても月に8万円もらえるからいいか、という制度のほうが流動性は高まるよ。古市さんがいうように、無能かどうかって、向き不向きや相性の問題も大きい。上司との相性が悪いだけとかね。だったら、さっさと辞めやすい社会にしたほうが効率がいいんじゃないか。
古市: ひろゆきさんが住んでいるフランスの場合はどうなんですか。
ひろゆき: フランスの若年失業率は20%くらいなんです。20代の若者5人に1人が失業だから、フランスの若者は大変だという文脈でよく使われる数字ですけど、実情は少し違う。フランスって4カ月働くと、最長2年まで失業保険が、前の給料の6割の額もらえるんです。だから、ずっと働いている人間より、短期間で辞めている人間のほうが人生楽しいんですよね。
4カ月働いて、あとは6割もらえるからダラダラ暮らしてまた働く、といった形ですぐ辞める。だから多くの若者は適当にお金を稼いで楽しく暮らしているんですけど、失業率は高く出るので、外からはフランスの若者は大変なんだと見えてしまうんですね。
――今後も、日本は成長していくでしょうか?
ひろゆき: いまのままなら難しいんじゃないですかね。現状、利益が上がる業種であるITの分野で、日本はどんどん後進国になっている。中国には人権という概念がないので、人の行動でも医療品の開発でも、ものすごい速度でデータを集めることができます。そのデータを海外に売るようになったら勝ち目がない。
一方のアメリカ型ITは、世界レベルで切磋琢磨している頭の良い人たちに巨額の給料を払って、クオリティーの高いモノをつくらせている。そういった製品やサービスに日本は勝てないですよ。いまや日本が何をつくっても、海外のものを使ったほうが便利じゃないですか。かつては日本でも何社かが検索エンジンをつくっていたけど、今ではGoogle一本。メールもGmailやYahoo!メールなど、全部海外のサービスです。
TwitterやFacebookなど、SNSもそうですよね。この調子でいくと、そのうちほとんどの分野で海外のサービスを使うようになって、日本には利益率の高いIT業種は減る一方になっていくと思います。そうなると巻き返しができないので、給料の低い微妙な国にならざるを得ないんじゃないか。
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