スマホは子どもの精神と脳の脅威、ならばどうする?:賛否両論(1/3 ページ)
利便性と時代の流れを理由に学校へのスマホ持ち込みを安易に解禁することは、日本の子どもたちの精神の健康と脳発達にとって大きな脅威となる。徹底的にその害毒を教え込むことができるか、さもなくば禁止のままのほうがずっとマシだ。
日沖博道氏のプロフィール:
パスファインダーズ社長。25年にわたる戦略・業務・ITコンサルティングの経験と実績を基に「空回りしない」業務改革/IT改革を支援。アビームコンサルティング、日本ユニシス、アーサー・D・リトル、松下電送出身。一橋大学経済学部卒。日本工業大学 専門職大学院(MOTコース)客員教授(2008年〜)。
文科省は最近、学校へのスマホ持ち込み禁止の指針を見直す方針を明らかにした。これに対し賛否両論の意見が紙上・ネット上で飛び交っている。
学習塾大手「明光義塾」が全国調査した結果が懸念の声の代表だろう。約6割の保護者が学校へのスマホ持ち込みに反対したそうだ。
その反対理由は、1位が「トラブルの原因になる可能性があるから(79.1%)」、2位以下が「学業の妨げになるから(57.8%)」、「ながらスマホなど事故に繋がる可能性があるから(43.4%)」と続く。新聞の社説やテレビなどでの識者たちも似たような論拠を挙げているケースが多いようだ。
一方、賛成の理由は、1位が「緊急の時の連絡手段に必要だから(83.3%)」、次に「防犯対策として必要だから(50.4%)」、「授業中など使ってはいけないタイミングを子どもが理解しているから(31.8%)」と続く。
ネット上の「賛成派」の識者たちの一部はもっと過激だ。いわく「このネット時代にまだ禁止していたのか、時代遅れだ」「むしろスマホの効果的な使い方を積極的に学校で教えるべきだ」などとスマホを学校に持ち込ませるよう促す。
ここにはある重要な「知識」に根差した「視点」がすっぽり抜けている。それはスマホの使い過ぎが子どもたちの精神の健康にとって害毒になり、発達途上にある彼らの脳をむしばんでしまうリスクがかなりあるという「知識」であり、それをきちんと教え、如何にそのリスクを避けるべきかという「視点」である。
ここで指摘するリスクは現実的な脅威で、学校に中途半端にスマホを持ち込ませれば、多くの生徒がスマホ依存症になってしまうという事態をまず懸念しているのである。もちろん子どもたち全員とは言わない。しかしごく普通の家庭の子どもたちがこのリスクにさらされるということを文科省ならびに父兄たちは認識すべきだ。
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