発案者は子育て中のパパ社員
話をしてくれたのは、同社の横溝大樹さん(経営企画本部 ICT戦略部 ICT基盤担当)と天野純一さん(経営企画本部 企業価値創造部 新規事業企画担当)。天野さんは「ベビーメトロは、『メトロのたまご』という社内の新規事業提案制度から生まれたサービス。最初は試験的に数カ月だけ公開する予定だった」と話す。
発案者は、子育て中のパパでもある横溝さん。ベビーメトロで確認できる情報は公式サイトや配布冊子などで公開されていたが、横溝さんいわく「どこに何があるか分からない状態」。欲しい情報をすぐに見つけるのは難しく、不便を感じていたという。
子育て世代が必要としている情報をもっと分かりやすい形で公開すれば、安心して駅を使ってもらえるのではないか――。そう考えて、2016年にメトロのたまごへ応募。同年中に採用が決まった。
横溝さんは「当初はパパ・ママ向けのポータルサイトのようなサービスを考えていました」と話す。駅構内の情報をまとめるだけでなく、近くの病院を探したり、親同士がチャットで相談したりできる機能も用意する予定だったという。
しかし、機能を盛り込めば盛り込むほど、利用者が知りたい情報を見つけにくくなる可能性もあった。そこで、ホームベンチや売店、自販機といった駅施設情報に特化したプロトタイプを作成。利用者が駅を使う時に知りたい情報は何か調べることにした。
「プロトタイプを作る段階では、駅でひと休みできるホームベンチが重要だと考えていた」と横溝さん。しかし、子育て世代にアンケートを取ってみると、必要とされていたのはエレベーターやエスカレーターの情報だったという。
なぜベンチではなくエレベーターなのか。検証を進めると、ベビーカーを使っている人の不安の元は「段差」であることも分かった。せっかく目的地に向かって進んできても、段差のせいで来た道を戻ったり、ベビーカーを持ち上げたりしなければならないからだ。
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