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シングルマザーだった私が“ニューヨークの朝食の女王”になるまで――「サラベス」創業者に聞くいかにしてトップに上り詰めたのか(2/4 ページ)

「ニューヨークの朝食の女王」と形容されるサラベス・レヴィーンさん(76)に独占取材。シングルマザーだった女性はいかにして米国で成功を収めたのか?

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「出会い」が全ての状況を変えた

 ベーカリーではクロワッサンやオムレツ、スプレッド、コーヒーなどを売っていたそうだ。「最初の頃、スプレッドを鍋で作って販売する人やビジネスをする人なんていませんでした。ベーカリーができて、朝食のメニューを始めたらどんどん広がっていき、朝食以外のメニューも作るようになりました」(サラベスさん)。

 現実にはどんなにおいしいものを作ったとしても、それが売れる保証はどこにもない。だが、特に彼女のスプレッドはその当時、非常にユニークな存在であったのだ。それこそが大きなアドバンテージになった。キャリアを形成する上で、またはビジネスをする上で、時代背景やタイミングは、非常に重要であることを教えてくれるエピソードである。実際、サラベスさんがビジネスを始めた時は長女が16歳、次女が12歳で子育てが一時期よりは少し落ち着いていた。育児という面でもタイミングが良かったのだ。

 ただ、ビジネスの成功についてサラベスさんはこうも話す。「一種の“事故”のようなものかもしれませんね。大きなビジネスにしようとは思ってもいませんでした。これをしてみる、あれをしてみる……と少しずつトライしていっただけです。頭で(ビジネスを)するのではなく、“心”でやりたいと思っていたことが成功した理由なのだと考えています」。

 サラベスさんのケースを見ると、人生を変えた要素として、彼女が持つ仕事への情熱を理解してくれたウィリアムさんの存在が非常に大きいように思われる。やはりよき理解者との「出会い」は大きなポイントだろう。サラベスさんの場合は、偶然にもウィリアムさんが夫となりビジネスパートナーにもなった。だが必ずしも理解者が男性である必要はない。同性の友人でも構わないし、「異業種交流会」のような場所で知り合った人でも構わない。自分を理解してくれる人と出会えることこそが重要なのだ。

 「キャリアを取るか、家庭を取るか……現実的に言えば、女性が2つとも両立するというのは非常に難しい」とサラベスさんは率直に答えてくれたが、理解者がいないまま1人だけの力でキャリアと家庭の両立を成し遂げることはとても厳しいのが現実だ。他者の支えがいかに重要であるかを改めて教えてくれる。

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インタビューに応えるサラベスさん
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品川店の内観(WDI JAPAN提供)
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品川店の外観(WDI JAPAN提供)

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