シングルマザーだった私が“ニューヨークの朝食の女王”になるまで――「サラベス」創業者に聞く:いかにしてトップに上り詰めたのか(4/4 ページ)
「ニューヨークの朝食の女王」と形容されるサラベス・レヴィーンさん(76)に独占取材。シングルマザーだった女性はいかにして米国で成功を収めたのか?
「これからも働いていくわ」
自身の成功については運命ではなく「意志」がもたらしたものだと語る。「自分が好きな物を作ることができたら、客は心から喜ぶことを私は知っています」と説く。裏を返せば自分が気に入らない商品は売らないという意味でもある。
「先週、私は忙しくて非常に疲れていました。疲れきっていて、私は商品を作るのを止め、夜の担当者に料理の続きをお願いしたんです。確かにその人は私が作ろうとしていたものについては経験不足なところがあったのですが、でき上がった商品の形が通常と異なっていました。だから販売はしませんでした」
疲れたことを理由に仕事を他人に任せたこと自体がこれまで約40年間のビジネス人生において初めてのことだったそうだが、「客に提供するものは常に完璧でないといけない」という妥協しない姿勢をそこに垣間見ることができる。
実はサラベスさんは当初、日本でのビジネス展開に乗り気ではなかったという。ウィリアムさんと、日本でサラベスを運営しているWDI Japanが、粘り強く彼女を説得したことが現在の出店につながっている。日本への飛行機に乗る時でさえ「14時間のフライトが……」とぼやいていたそうだが、日本に着いた途端に、日本を好きになったという。
特に「日本人」の温厚で優しい人柄にほれたそうだ。「日本に進出したことは、結果的にビジネスにおいて最高の判断の1つでした」と語り、現在は無類の親日家である。
今後は「クッキーのビジネスを軌道にのせ、米国と日本に支店を増やしていきたいです」と話す。「今、仕事を辞めたら、家で何をしていいのか分からないから、これからも働いていくわ」と笑ったが、彼女のたたずまいを見ると、もし後継者を見つけたとしても、まだまだ第一線で走り続けるような気がした。
関連記事
- ガス会社勤務だった女性が「世界最大級のデジタルコンテンツ会社」を率いるまで
完璧な人間はいない――。だが、仕事も私生活も充実させ、鮮やかにキャリアを築く「女性リーダー」は確実に増えてきた。企業社会の第一線で活躍する女性たちの素顔に迫り、「女性活躍」のリアルを探る。 - 男女雇用機会均等法の「第1期生」 キリンで子会社社長に上り詰めた女性に学ぶ仕事術
完璧な人間はいない――。だが、仕事も私生活も充実させ、鮮やかにキャリアを築く「女性リーダー」は確実に増えてきた。企業社会の第一線で活躍する女性たちの素顔に迫り、「女性活躍」のリアルを探る。 - “天才写真家”を次々と発掘 業界に風穴空ける女性創業者の「目利き力」
完璧な人間はいない――。だが、仕事も私生活も充実させ、鮮やかにキャリアを築く「女性リーダー」は確実に増えてきた。企業社会の第一線で活躍する女性たちの素顔に迫り、「女性活躍」のリアルを探る。 - 両親亡くした一人娘の挑戦 元ラジオDJが「自己破産」覚悟でめっき会社社長に
完璧な人間はいない――。だが、仕事も私生活も充実させ、鮮やかにキャリアを築く「女性リーダー」は確実に増えてきた。企業社会の第一線で活躍する女性たちの素顔に迫り、「女性活躍」のリアルを探る。 - 育児でブランク14年 障がい者のシングルマザーが楽天子会社の副社長になるまで
完璧な人間はいない――。だが、仕事も私生活も充実させ、鮮やかにキャリアを築く「女性リーダー」は確実に増えてきた。企業社会の第一線で活躍する女性たちの素顔に迫り、「女性活躍」のリアルを探る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.