ビジネスの世界で「バランス」とは何か センスの磨き方:大きな欠点(2/3 ページ)
ビジネスの場面だけではなく、あらゆる人生の場面においてバランスがとれている状態は美しく、間違いなくセンスを感じさせてくれるものだ。 ビジネスにおける「バランス」とはなんだろうか。
バランスの取れた活動とは
ビジネスにおける「バランス」とはなんだろうか。
前述したような、バランスのとれたビジネススキルを持つことも大切なバランスのひとつだが、我々が最も重視しなければならないのは、ビジネスにおいて長期的に成長していくために、現在の活動にバランスが取れているかどうかだろう。営業ならば、同じ顧客に同じ話ばかりしていては、そのうちに飽きられてしまうし、同じクオリティーと価格が続けば、競合先も黙っていないはずだ。常に、新しい付加価値を提供し続けることができなければ、継続的な成長はありえない。
つまり、自分自身が成果を生み出すバリューチェーン(付加価値を生み出していく仕組み)を少しずつでも大きくしていくことができるかどうかだ。
ビジネスの活動におけるバランスを考える際、参考にしたいのは、ロバート・キャプラン、デビッド・ノートン両氏によって提唱された「バランスド・スコア・カード」だろう。この概念はあまりに有名で、新たな戦略やプロジェクトを起案する際に非常に便利なフレームワークで、日本においても多数のファンがいる。
この「バランスド・スコア・カード」の優れた点は、組織における様々な機能「顧客満足」「従業員満足」「人材育成」「プロセスマネジメント」「プロモーション」「商品開発」などの様々な組織機能が、すべてつながっていることが一目瞭然になり、どこかにボトルネックがあると、それ以外の機能に大きな影響を及ぼし、全体的な組織力の向上にならないことが即座にわかるということだろう。
ゆえに、「バランス」という言葉が使われている。
「財務目標を達成するための顧客満足・顧客体験」「顧客満足を実現するためのプロセス」「プロセスを実現するための人材育成」などの組織機能は、すべてつながっていて、組織戦略、実行戦略を語るにおいて、これらのバランスを欠くことはできない。
ビジネスにおいて、最終的な「財務」的な価値を生み出すには、個人の能力開発、人材開発から顧客貢献までのバリューチェーンが必要であり、そのチェーンをいかにつくりあげるかにかかっているかを再認識させてくれる。
「差別化」や「ブランディング」など、どちらかというと、個性を打ち出す戦略のほうが、一般的な見方かもしれない。何よりも他社に打ち勝つ、商品やサービス、対応力を持つ必要があり、バランスなど言っていられない、という感じだろう。
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