復活の兆しがある「社内運動会」は、本当に組織を活性化するのか:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
社内運動会を開催しているところが増えているという。「社内運動会=昭和」のイメージがあるが、どういった目的で開催しているのか。「組織を活性化するために」といった声が多いが、本当にそんなこと……。
先週末、5月とは思えぬ猛暑日の中で全国的各地で運動会が催された。
暑さで意識朦朧としながらもどうにか「場所取り」やビデオ撮影を乗り切ったというお父さん、朝5時に起きて眠い目をこすりながらお弁当をつくったお母さんが、日本中で山ほどいらっしゃることだろう。
一方、そのような我が子の応援ではなく、「自分自身が運動会に出た」という方も少なからずいらっしゃるのではないだろうか。近年、社内イベントとしての運動会を開催する企業が増えているからだ。
社内運動会の企画・運営サービスを行う運動会屋のプレスリリースによると、実施件数は2008年にわずか5件だったものが、17年には236件と急増。そのほかにも、かつて社内運動会を行っていながらも止めていた大企業でも、続々と「復活」の動きがある。
有名なのが、デンソーだ。報道によれば、リーマンショック後、先行き不安な空気が社内にまん延していた中で、社長が現場を元気にさせるためにと復活を決断したところ、これが大当たりで、社員同士のコミュニケーションも活性化し、現場のモチベーションやチームワークも向上、日々の業務に大きなプラス効果を生んでいるという。
このような運動会への高い評価は、日本国内にとどまらない。インド、タイ、ラオスなどでも教育だけではなく、地域活性化の分野で「UNDOKAI」が注目を集めており、前出の運動会屋も米シリコンバレーに進出して法人を対象に「日本式チームビルディング」として展開しているという。
TBSのバラエティ番組『メイドインジャパン!』だったらすぐに「日本のUNDOKAIを世界が賞賛!」「運動会のある日本に生まれたかったと外国人が大絶賛!」みたいなVTRをつくってしまうほど「日本の運動会」に注目が集まっているのだ。
関連記事
- 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 日本は給料の低い微妙な国になる、これだけの理由
働き方改革が叫ばれながらも、日本企業の生産性はなかなか上がらない。今後の成長が危ぶまれるポスト平成時代、私たちはどのように働けばいいのだろうか。社会学者の古市憲寿氏と、元2ちゃんねる管理人のひろゆき氏に、これからの「働き方」について語ってもらった。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - 人手不足は本当に「悪」なのか 騙され続ける日本人
人手不足が原因で倒産する企業が増えているようだ。東京商工リサーチのデータをみると、前年度から28.6%も増えて、過去最高を更新している。数字をみると、「人手不足=悪」のように感じるが、本当にそうなのか。筆者の窪田氏は違う見方をしていて……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.