コラム
上司はつらいよ パワハラ防止法の施行が与える管理職への影響:防止法の意味(2/2 ページ)
いわゆるパワハラ防止法が可決、成立しました。ハラスメント研修では、官公庁や大手から中小企業までさまざまな職場、それも管理職向けのセミナーを行っている立場から考えます。
・企業の責任が重くなる点が重要
パワハラとはなんぞやと、今頃言っているようでは、とても危険です。厚労省パワハラ6類型のように、何がダメなのかは、自分が決めるものではありません。政治家が失言で役職を下ろされたり辞任したりする例が後を絶ちませんが、「善意の指導」や「自分たちもこうして成長したんだ」という自分の意図は関係ありません。
企業側にはどんな意図であれ、ハラスメントを防止する義務が課されました。見逃したり、ハラスメントを見て見ぬふりをした責任は会社にきます。「防止法」自体に罰則が無くとも、当然パワハラ裁判はこれまでもできました。当然今後もパワハラで訴えることはこれまで以上に容易になります。
そんな時に「指導の一環だった」ことは、学校で教師が児童を殴った場合、もはや現状ではどんな理由があれ教師側が責任を問われるのと同じです。生徒側に非があったとしても、教師が責任を問われるのは理不尽ですが、これは生徒側も責任を問われることで、教師の責任がゼロにはならないと理解すべきでしょう。
管理職の皆さんは、残業代は出なくなるわ、雑用は増えるわ、部下には何も言えないわで、そもそも管理職になるメリットあるの? と感じるかも知れません。しかし部下を指導することは業務です。部下の人格を否定することが禁じられるだけであり、指導自体は管理者として、当然遂行義務があります。この線引きをぜひ理解していただだきたいと思っています。(増沢隆太)
関連記事
- 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 大学3年生に聞く、就職したい企業ランキング
2020年3月卒業予定の大学3年生は、どんなところで働きたいと考えているのだろうか。就職したい企業・業種ランキングを見ると……。リスクモンスター調べ。 - なぜ日本のおじさんは怒ると「責任者を呼べ!」と騒ぐのか
街中を歩いていて、おじさんが「責任者を出せ!」と騒いでいるのを聞いたことはないだろうか。例えば、駅員に大声を出したり、コンビニの店員を叱ったり、とにかく日本のおじさんはよく怒っている。なぜおじさんは「責任者を呼べ!」と叫ぶのか、その背景を調べてみると……。 - 「佃製作所はやっぱりブラック企業」と感じてしまう、3つの理由
ドラマ「下町ロケット」の特別編が放映され、14.0%という高視聴率を叩き出した。多くの人がこのドラマを見て胸が熱くなったかもしれないが、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。ドラマの内容を考えると、「日本の未来に不安を感じる」という。どういう意味かというと……。
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.