2015年7月27日以前の記事
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温暖化がビジネスチャンスに? 気温上昇でごはんがおいしくなるワケ(2/2 ページ)

この5月、北海道では観測史上初めて気温が39度を超えました。この影響はさまざまなところに表れていて、その1つがコメ作りです。北海道がおコメの名産地となった背景には、この温暖化が関係しています。

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猛暑でコメの品質低下問題

 温暖化の影響が全てのコメどころに恩恵をもたらしたかといえば、そうではありません。北海道以外の地域では、夏が猛暑だと、コメが白く濁ってしまう品質低下が目立つようになります。水稲は東南アジア原産のため、高温多湿に適しているはずが、行き過ぎた暑さはマイナス要因になってしまうのです。

 温暖化の進行を背景に、各地で暑さに強い品種の開発が進められました。全国でも暑さが厳しいところとして知られる埼玉県では、9年をかけて「彩のきずな」を作りました。また九州のブランド米「にこまる」は、史上最も暑い夏といわれた2010年でも安定した収量と品質を保ったそうです。


埼玉で暑さに強いコメとして生まれた「彩のきずな」(埼玉県のWebページより)

温暖化の進行 ビジネスチャンスを逃がさず

 ひとことで温暖化といっても、影響はさまざまです。負の影響ばかりがニュースになりがちですが、北海道と同じように高緯度に位置するロシアや欧州などでは、温暖化による気温上昇で、小麦の生産が上向くとの見方もあります。

 旧態依然としたイメージを持っていてはビジネスチャンスを失いかねない。温暖化の進行は私たちが思っている以上に早く、影響が広がっています。気象の情報は長期的なビジネスに結び付かないと思わずに、ぜひ目を向けてほしいところです。

参考資料

  • 政府統計の総合窓口(e-Stat)、作物統計調査
  • 一般財団法人日本穀物検定協会、米の食味ランキング
  • 埼玉県ホームページ:「彩のきずな」について
  • 九州沖縄農業研究センター:「にこまる」の育成

筆者プロフィール:片山由紀子 ウェザーマップ 気象予報士

1996年より民放キー局で天気予報の番組を担当する。気象現象のメカニズムや災害の解説に定評がある。天気と身の回りの出来事を新たな視点で結ぶコラムは、朝日新聞「天声人語」や日本経済新聞「春秋」に引用された。

Yahoo!ニュース個人「気象予報士のノート」


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