「闇営業」の原因は、日本の芸能ビジネスの「中抜き構造」にある:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
ワイドショーなどで連日のように、芸人の「闇営業」問題を取り上げている。「最初に発覚したときにうそをついたことがいけなかった」などとコメントしている人が多いが、問題の本質はそこにあるのか。筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしていて……。
変わるべきは、事務所である
こういう似た者同士は、類は友を呼ぶではないが、磁石のように吸い寄せられる。地域の不良少年たちが、自然にその世界の人間にスカウトされるように、「中抜き」で金欠になった芸人と、カタギを装う反社の人間は、映画『君の名は』の2人のように、時空を超えて必ずどこかで巡り会う運命なのだ。
ならば、この両者を近づけない方法は一つしかない。反社会勢力の世界は「奉公制度」が変わることはないので、芸能側が「奉公制度」を変えるのだ。
そのためには、芸人にいくら研修をしてもいくら謹慎をさせても意味はない。丁稚や遊女という奉公人側はシステムを変える権限がないからだ。
ということは、この悪縁を断ち切ることができるのは、タレントという奉公人を使う側、つまりは芸能事務所側の方であることは明白である。「中抜き業」から海外のような「代理業」へと転換できたとき、初めて長く続いてきた反社会勢力との決別ができるのではないか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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