「二段階認証うんぬん」発言から読み取れる、セブンの危機的状況:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
不正アクセスの問題を受けて、7payの社長は記者からの質問に詰まってしまった。「二段階認証も知らないのか」「信じられない。それでも社長?」といった声が飛び交っていたが、メディアトレーニングを行っている筆者の窪田氏はこの会見をどのように見ているのか。
おしゃまな5歳女児、チコちゃんから素朴な疑問を投げかけられ、答えに窮すると「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と怒られる、というNHKの雑学バラエティ『チコちゃんに叱られる!』が大人気だが、同番組を彷彿(ほうふつ)させるようなシーンが先日、日本を代表する超一流企業グループの会見で起きてしまった。
サービス開始直後から約900人が不正アクセスされて、5500万円もの被害が生じた、セブン&アイ・ホールディングスのスマホ決済「7pay(セブンペイ)」。その謝罪会見に登壇した株式会社7payの小林強社長が記者から、ユーザー登録時に二段階認証をしているサービスがほとんどなのに、なぜ7payではやっていないのかと素朴な質問を投げかけられたところ、「二段階認証……」と言葉に詰まってしまったのである。
その後、慌てて、「7payはセブン-イレブンアプリと連携しているので、二段階うんぬんと同じ土俵に比べられるのか、私自身は認識しておりません」と苦しい答えをひねり出したが、チコちゃんなら間違いなく、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とキレているレベルだ。実際、ネット上ではかなり怒りの声が散見される。
と聞くと、「経営者がそんな技術の細かいところまで知っている必要はない」とか「セキュリティ担当者が引き取って説明していればこんな大騒ぎになっていなかったのでは」と感じる方も多いことだろう。
筆者自身も謝罪会見トレーニングの講師をかれこれ10年以上務めており、受講者にはいつもそのような「回答の分担」を推奨してきたので、言わんとすることは非常によく分かる。
一方で、今回のケースはそのように「会見の対応がまずかった」で片付けられるような話ではない気している。
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