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25歳で「がん宣告」を受けた営業マンが「働くこと」を諦めなかった理由――企業は病にどう寄り添えるのか新連載「病と仕事」(2/5 ページ)

病気になった人やその周囲を取り巻くストーリーを届ける新連載「病と仕事」――。病と仕事にまつわる実態を丹念に取り上げ、その一つ一つに向き合っていく。第1回目は25歳で「がん宣告」を受け、現在はがんに関する医療情報を届けている鳥井大吾さん。

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突然の「がん告知」 上司への休職願い

 「ふくらはぎに大きな塊があります。詳しいことは大きな病院で診察を受ける必要があるので、紹介状を書きます」。医師からこう言われた。総合病院で再検査を受けた後、今度はがんの拠点病院を紹介される。両親と一緒に診察室に入ると、検査したデータを見ながら医師はこう告げた。

 「左ふくらはぎに悪性の腫瘍、つまり『がん』があります。別の箇所に転移がないか検査する必要もあります」

 いきなりのがん告知だった。病名は粘液性脂肪肉腫。鳥井さんは全く信じられなかった。両親との帰宅時、車の中は重苦しい雰囲気に包まれた。母は泣き、誰も言葉を発しなかった。

 家に着いて真っ先にしたのは、会社の社長と上司への報告だ。急いで電話を入れた。「休職させてもらえませんか?」。会社の社長も上司も鳥井さんを気遣ってくれ、急な申し出を快く引き受けてくれた。

 「大丈夫なの?」。社長は何度かこんな言葉を掛けてくれた。月並みの言葉ではあるが、鳥井さんを心配してくれたのだ。鳥井さんも社長もお互いにこのような状況を経験したことがなく、手探りだった。滞りなく休職するために、仕事をいかにして引き継ぐのか、傷病手当をどうするか。粛々と手続きを進めた。そして冒頭の手術の日を迎える――。

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手術1時間前、病院のデイルームにて

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