25歳で「がん宣告」を受けた営業マンが「働くこと」を諦めなかった理由――企業は病にどう寄り添えるのか:新連載「病と仕事」(5/5 ページ)
病気になった人やその周囲を取り巻くストーリーを届ける新連載「病と仕事」――。病と仕事にまつわる実態を丹念に取り上げ、その一つ一つに向き合っていく。第1回目は25歳で「がん宣告」を受け、現在はがんに関する医療情報を届けている鳥井大吾さん。
年間2万人の働き盛り世代ががんに 企業は何ができるのか
司会は元SKE48のメンバーで、乳がんによって左乳房全摘出・リンパ節切除の手術を受けたタレントの矢方美紀さんが務めるほか、13年に境界悪性卵巣腫瘍の診断を受け、子宮と卵巣を全摘出したタレントの麻美ゆまさん、甲状腺がんを経験した木山裕策さん、乳がんを経験した松澤由美さんなど、実際に病を体験した「AYA世代」の歌い手たちが出演する。また、ライブにはがん体験者を無料で招待している。
「年間で、小児がんは約2500人、AYA世代は約2万人の方が、新たにがんの診断を受けるとされています。決して高い確率ではないかもしれませんが、がんになった若者は勉強や受験などの進学、就職への不安、恋愛や結婚など治療以外にもさまざまなライフイベントに関わる問題を抱えているのです。どうしても治療にフォーカスがされがちですが、それ以外の問題を抱えていることはあまり知られていません。だからこそ、ライブを通して少しでも多くの人にこの問題を知ってほしいのです。
一方で、がんになっても他の人と変わらないということも伝えたい。むしろがんになったからこそ気付けたことがたくさんあります。自分にとっては、仕事をすること、働くことこそが社会とのつながりだと気付き、病を乗り越える上での希望になりました。職場や企業が病とともに生きる人に対して果たせる役割は、実は小さくないのだと思います」
鳥井さんの体験は「若くしてがんになったらどうするのか」「企業は働く人の病にどう向き合えるのか」という問いを突き付けている。これからの「多死社会」を迎える中で、企業はいかにして働く人の健康に配慮をし、どうやって「戦力化」するのか。今の日本企業に足りていない部分はどこにあるのだろうか。働き方改革の大きな目的の一つは、まさにさまざまな事情を抱えた人の能力を最大化することにあるはずだ。
今回から、病気になった人やその周囲を取り巻くストーリーを届ける新連載「病と仕事」を始める。病と仕事にまつわる実態を丹念に取り上げ、その一つ一つに向き合っていきたい。
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