関電幹部たちが「原発キャッシュバック」の受け取りを拒否できなかったワケ:スピン経済の歩き方(1/4 ページ)
関西電力が揺れている。福井県高浜町で「影の町長」としてささやかれていた元助役・森山栄治氏から、計3億2000万円分の金品を受け取っていたことが明らかに。いわゆる“原発キャッシュバック”と呼ばれるものだが、なぜこのようなことが起きるのか。歴史をさかのぼってみると……。
我々庶民が「キャッシュレス決済すれば3%ポイントが還元される。これはデカい!」なんて話で盛り上がっている中、日本を代表する大企業の「キャッシュバック」が明らかになった。
関西電力の幹部20人が、原発関連事業を発注した企業の役員などを務め、福井県高浜町で「影の町長」などとささやかれていた元助役・森山栄治氏(故人)から、計3億2000万円分の金品を受け取っていた問題のことだ。
一般的な「原発マネー」は、電力会社から「地元対策」の名目で地元企業にバラ撒(ま)かれるイメージだが、今回は逆で、原発の警備業務を受注する警備会社や、メンテナンス会社、原発関連工事を受注する地元建設会社が森山氏を通じて、関電幹部らにカネを「還元」しているのだ。
まさしく「原発キャッシュバック」ともいうべき構図だが、ここから我々庶民が思い浮かべる言葉一つしかない。大型事業が発注できた見返りや、継続的に良好な関係を求めるがゆえ、発注金額の一部を戻す――いわゆる、キックバックだ。
実際、3億2000万円を出したという地元ゼネコンの売り上げは2013年に3億5000万円だったが、森山氏の「関電詣で」がスタートしてから順調に成長を遂げ、18年にはなんと6倍以上の21億8000万円になっているという。
もちろん、関電側は森山マネーが関連企業への発注に影響を及ばしていない、と完全否定しているが、関電側が詳細に釈明すればするほど疑惑が増すという皮肉な現象が起きている。例えば、06年の関西電力原子力事業本部の本部長代理時代から金品を受け取っていた、八木誠会長の以下の証言である。
『森山氏は八木氏に対しお中元、お歳暮のほか、年に1、2回、面会のたびに金品を提供。八木氏は「常識を超えるような金品だった」と話し、「受け取りを断ると、激高された」と説明』(朝日新聞 9月28日)
と聞くと、心付けをゴリ押しする迷惑なおじさんという印象を受けるかもしれないが、森山氏がこういうリアクションになること自体、これがキックバックであることの証といってもいいのだ。
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