関電幹部たちが「原発キャッシュバック」の受け取りを拒否できなかったワケ:スピン経済の歩き方(4/4 ページ)
関西電力が揺れている。福井県高浜町で「影の町長」としてささやかれていた元助役・森山栄治氏から、計3億2000万円分の金品を受け取っていたことが明らかに。いわゆる“原発キャッシュバック”と呼ばれるものだが、なぜこのようなことが起きるのか。歴史をさかのぼってみると……。
嫌がる相手にカネを渡して黙らせる
このように表にならない形で「カネ」をバラ撒いてきたのは、政界だけではない。「地元対策」の名目で、反対する住民などにもバラ撒かれ、時にはマスコミ、地元メディアなどにも「広告」や「取材協力費」の名目で原発マネーが注入されたのは、ご存じの通りだ。
つまり、原発というのはそもそも、「反対する人々にカネをバラ撒き黙らせる」ことで成立するビジネスモデルと言ってもいいのだ。こういうカネのやりとりが当たり前の世界で生きてきた人たちに、「なぜ森山氏の金品を受け取ったのだ!」と責めるのはある意味で酷である。
モラルが低いとかなんだではなく、「カネを払ってその見返りを期待する」というキャッシュバックが彼らの「常識」なのだ。
関西電力は明日(10月2日)にも会見を催して、さまざまな疑惑に対して説明をするそうだが、詳しく語れば語るほど、世間の常識とかけ離れた「原発」という世界の非常識さが浮き彫りになる可能性が高い。
どんなに驚きの会見になるのか、注目である。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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