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ダメなカローラと良いカローラ池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/6 ページ)

旧型のカローラと、TNGAベースの新型カローラは月とすっぽんくらいに違う。2010年前後デビューのトヨタ車の出来はありていにいってひどい。新型カローラシリーズは、だいぶ素晴らしい。完璧とはいわないが相当に良い。先行して登場したカローラ・スポーツで感じた違和感はどのようになったのか。

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TNGAカローラ総評

 と、フィールダーについての言いたいことを書き募ってしまったが、新型カローラ・シリーズはどうなのか? これはだいぶ素晴らしい。完璧とはいわないが相当に良い。

 まずはシャシー。このプラットフォームには言うべき点が3つある。

 まずは一つ目は、路面がザラザラなところでうるさい。タイヤ踏面と路面の間でノイズが発生する。本来をそれはタイヤの内部で減衰されてある程度静かになるものだが、エコタイヤはそれを減衰しない。なぜならば振動を減衰させるということは、言い換えればエネルギーをゴムのヒステリシスロスで熱に変換して捨てるということであり、減衰はイコール燃費の悪化なのだ。だからエコタイヤを使う以上、ノイズは発生してしまう。それがサスペンションを経由して床板を振動させ、それが骨格全体を伝わって共振し、ボディ全部が鳴る。

 これはGA-Cプラットフォームと呼ばれる、現行プリウスでデビューしたこのサイズのシャシーの欠点である。ただし、今回それが少しだけ軽減されたような気がする。

 2つ目は、わずかながら残るペダルオフセット。先代から比べたら「そんなに目くじら立てなくても」なのは分かっているが、やはりマン=マシンインターフェースは重要だ。ほかのこととちょっと違う。理想というにはあと少し届いていない。だからといって不合格というものでもない。ちょっと表現は難しいけれど、一言いいたいくらいにはまだ改善の余地がある。


メーター類のデザインは外装と比べるとまだまだ。情報の整理と色や文字サイズの意味をもう一度揉み直した方がいい

 3つ目。このGA-Cプラットフォームの一番の美点は、コーナーリング中の身のこなしだ。サーキットでシゴいても音を上げないし、挙動のひとつひとつがよく躾(しつ)けられていて曲がるのが楽しい。しつこいがフィールダーと同じメーカーが作ったクルマとは到底思えない。

 しかし、昨年カローラ・スポーツがデビューした時、ちょっと気になる問題があった。それはシャシーの感度が高すぎることだ。ご存じのように、路面はいつも鏡のように平らというわけではない。こういうのをアンジュレーションと呼ぶのだが、ドライバーがハンドル操作をしなくても、タイヤはアンジュレーションを受けて自然に横力を発生してしまう。操作にビビッドに反応するクルマ、つまりよく曲がるクルマはアンジュレーションでも動いてしまいやすい。これに対して適度に鈍感にしつけないと、運転していて神経を使うことになる。

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