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じぶん銀行社長に聞く「老後2000万円問題」――顧客第一主義を貫き資産運用を“再発明”する将来的にはパーソナライズした商品を実現(2/4 ページ)

金融庁の「老後資産2000万円」報告書がきっかけとなり、日本でも資産運用への関心が高まっている。一方、資産運用を始めようとしても、「投資は危険」「金融機関にだまされる」などといったネガティブな印象を抱いている人が多いのもまた現実だ。KDDIと三菱UFJ銀行が共同出資して設立したインターネット銀行・じぶん銀行の臼井朋貴社長にインタビューし、同行が金融機関として個人の資産運用をどのようにサポートしようとしているのか、そのビジョンを聞いた。

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投資判断の材料を分かりやすく提供する

――7月から「じぶん銀行日本PMI」の提供を開始しました。PMIとはどんなものなのでしょう? 分かりやすく説明していただけますか?

 その説明は森永さんの方が得意そうですが(笑)。日本語でいうとPMI(Purchasing Managers' Index)は「購買担当者指数」という言葉になります。製造業やサービス業の責任者が在庫の仕入れ状況などから、景気の先行きをどう感じているかを表している指数になります。IHS マークイットという英国の調査会社が世界中の主要な企業にヒアリングしています。50が1つの分岐点になっていて、それを上回っているか、下回っているかを見ます。毎月発表している経済指標になります。

 PMIは1カ月のうちに3回発表されます。速報値、サービス業の確報値、製造業の確報値の3回です。

――私も運用会社や証券会社で調査部にいましたので、PMIはよく見ていました。日本だと、鉱工業生産とPMIの相関係数が高く、しかもPMIは他の経済指標に比べて速報性が高いので実務の参考にしていましたが、一方で多くの個人投資家にとっては、GDP(国内総生産)やCPI(消費者物価指数)といった経済指標が有力で、それに比べると馴染(なじ)みのないものかとも思われます。なぜ、じぶん銀行はPMIを重視し、IHSマークイット社とスポンサー契約を結んだのでしょうか?

 おっしゃる通りです。社内でも「何でPMIとスポンサー契約をするんだ」という議論が起こりました。でも、逆にそこが狙いなんです。プロしか見ない難解なものをかみ砕いて一般の消費者に届けることが私たちの使命だと思うんです。このスポンサー契約が認知度を上げるための戦略といえばそれまでですが、それだけだとつまらないので、もっと活用しようよと。漫画なども使って、もっと分かりやすく教えていきたいと思っています。

 PMIは投資の判断材料にはなると思うんですね。絶対に儲(もう)かります、という情報ではなく、あくまで投資判断をする際の情報の1つでしかないのですが、そういうものを提供し続けていくことが貯蓄から投資への誘いの第一歩になると信じています。

 「ここ最近はずっと下向きだったけど、今月から上向いているな」とか、そういう変化だけでも気付いてもらえればいい。それがきっかけとなって、ネット証券のサイトを見に行ってくれればいいと思っています。

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じぶん銀行はPMIを重視し、IHSマークイット社とスポンサー契約を結んだ(じぶん銀行のWebサイトより)

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