飲み食い放題で「上限3000円」の「定楽屋」が増殖中 料理や接客で“手抜き”してないのにもうかるのか?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
飲み放題・食い放題で上限3000円(税抜)の「定楽屋」が増殖している。サービスを削らず調理に手間暇をかけてリピーターを獲得している。1人当たり3000円でもうかっているのか?
本当に3000円でもうかるのか?
さて、これだけの手間ひま・人件費をかけて、定額3000円でもうかるのか?
前田氏は「キツい」と笑いながら泣きを入れるが、本当に採算が合わなければ多店舗展開しないだろう。しかし、東京や大阪の都心部では家賃が高すぎて厳しいようだ。県庁所在地クラスの規模がある地方都市の中心街を今のところ狙っている。
だが、鳥貴族のように、大阪の郊外でしか成り立たないと思っていたのに、試しに大阪のミナミに出店してみたら大当たりしたケースもある。
スタイルは社歴が浅く、28歳の金山洋明社長以下、従業員の大部分が20代の若者だ。ITならともかく、外食では今時珍しい急成長中のベンチャーである。金山社長は同志社大学生命医科学部在籍中に、居酒屋でアルバイトをしていたサークル仲間を誘って起業した。
店づくりは飲食コンサルタントで、中小企業診断士の河野祐治氏からサポートを受けている。料理は、ごはんクリエイト代表の野口利一氏の講習を社員が受けて、日々技能を向上させている。定楽屋は、金山氏や前田氏といったスタイル幹部の発想ばかりでなく、そうした先達の知恵によってブラッシュアップされているのだ。
それにしても、コストパフォーマンスを売りにした「やきとり○金」、「それゆけ!鶏ヤロー!」、どのメニューも298円均一の「鳥貴族」、いずれも鶏肉がメインの業態である。
そして、定楽屋の人気商品をいま一度見てみると、焼鳥、つくね、から揚げといったように鶏肉を使った料理が上位を占めている。それに加えて、だし巻き、うずらといった卵料理。ざっくりと、鶏やら卵やら「物価の優等生」を巧妙に使った料理を磨き上げて、もうけを出している気もしないでもない。
さて、今日は元を取るぞと張り切って、朝から絶食してきた常連たちは、果たして何人がその望みを達成できているのか。最新の久留米の店舗が、今までの2倍の大きさであることから考えると、どうやら撃沈率が高くてお店の方が優勢のようだが。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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